2階建ての民家を覆うブーゲンビリア 30センチの苗木が高さ8メートルに成長
福岡市早良区原の住宅街で、松本ヨツエさん(78)が育てたブーゲンビリアが松本さん宅を覆うように赤紫色の花を咲かせ、道行く人たちの目を引いている。
ブーゲンビリアは南米原産のオシロイバナ科の低木。30年ほど前、知人が処分しようとした30センチほどの苗木を「もったいない」と譲り受け、現在は高さ約8メートル、幅約10メートルまでに育った。
元看護師で、おしゃべりが大好きな松本さん。ブーゲンビリアへの愛情の注ぎようは「我が子以上かも」と笑う。枝や葉が生い茂って2階のベランダに達し、洗濯物や布団を干せなくなると、「できるだけ枝切りはしたくない」と別の場所にベランダを増設して成長を見守ってきた。
冷え込みが厳しい冬の時期は、幹の部分をむしろで囲み、ドライヤーで暖めた。台風で枝が折れた時には、割り箸で添え木をして対応した。
「見に来てくれる人が笑顔になるのが何よりも楽しみ」と松本さん。口コミでうわさが広がり、新聞やテレビでも取り上げられた。コロナ禍前までは、毎年この時期になると300人ほどが花を見に訪れていたという。
「花が好きな人に悪い人はいない」と、時には家に招き入れてお茶を出し、希望する人には切り花を渡す。「コロナが終息したら、知らない人たちとまたブーゲンビリア談議に花を咲かせたいです」
自宅のブーゲンビリアが「たくさんの人を笑顔にし、出会いの機会をつくってくれた」と笑顔の松本さん。体力が続く限り、夫の明俊さん(79)と二人三脚で見守っていきたいと話している。花はお盆の頃まで見られるという。