デジタルの力で繁盛店に! 常連さんを獲得する福岡発アプリ「toypo」が拡大中
記事 INDEX
- 気に入った店を客が登録
- アプリで店をデジタル化
- 当たり前のサービスへ
福岡市のスタートアップ企業が開発したアプリ「toypo(トイポ)」を導入する店が増えています。リピート来店を促して常連客を獲得していく機能と導入の手軽さから、起業後およそ3年で契約先は約300店に。アプリを提供する「トイポ」(福岡市中央区)のCEO・村岡拓也さん(26)に、ヒットの理由や今後の展望を聞きました。
気に入った店を客が登録
toypoは、アプリ内に店ごとのページができる「ミニアプリ」の形式をとっています。ページには、店の会員証やスタンプカード、回数券など客との"接点"となる様々な機能が収まります。客は気に入った店のページを複数登録してリスト化できるため、お気に入り店から配信された特典クーポンなどを一つのアプリで管理し、スマホで手軽に持ち歩けます。
toypoには店舗の検索機能を設けておらず、アプリ上に表示されるのは、客が実際に足を運んでQRコードなどを通じて登録した店のページのみ。店側は使いたい機能を選んで10分ほどでページを作れるそうです。初期費用はかからず、月額5500円(税込み)から利用を始められます。
村岡さんは「店独自のアプリを作ろうとしたら、相当な費用がかかります。toypoのようなプラットフォームを活用すれば、開発の必要はなく、低コストで多くの機能を使えます。アップデートも行うので、常に最新の機能を利用できるのもメリットです」と力を込めます。
アプリで店をデジタル化
この「リピーター獲得に特化した店舗向けアプリ」というアイデアに村岡さんがたどり着いたのは、起業を模索していた20歳過ぎの頃だったそうです。自身の生活圏にある居酒屋や銭湯、ゲームセンターといった場所で紙でできた回数券がなお使われ、デジタル化が進んでいないことに気づいたといいます。
「中小の店舗が使いこなせるサービスをつくれば、そこからみんなの生活体験をよりよいものにできるのでは」。2019年4月、22歳でトイポを創業し、知人と一緒にアプリを開発しました。
当初は、様々な店に手紙を送ったり、飛び込みで経営者に会ったりして、デジタル化に取り組む課題などを探りました。現場の声をもとに、アプリの使い勝手向上や機能の検証を進め、無料で提供していたアプリを2020年10月から有料化しました。
当たり前のサービスへ
導入店舗は福岡都市圏を中心に徐々に拡大し、アプリをダウンロードした会員は現在7万人を超えています。導入後の売り上げが前月比で6割増えた店もあるなど集客効果は高く、これまでに解約した店はないそうです。
今年3月には1億5000万円の資金を新たに調達。社員の採用を進め、組織強化にも取り組んでいます。さらに、7月に行われたJR九州主催のビジネスコンテストで最優秀賞を受けるなど、アプリへの評価は確かなものになってきました。
今後は年商1億円を目指すという村岡さん。「自分たちがいいと思うサービスを全国に広げたいと思ってやってきました。みんなにとって当たり前のものとしてサービスを浸透させていきたいです」と話しています。