北九州から全国へ 和布刈神社が取り組む「終活」事業とは?
記事 INDEX
- 海とともにある歴史
- 最後の道先を照らす
- 神社をあるべき姿へ
北九州市門司区、関門海峡のそばに立つ和布刈(めかり)神社。航海の安全や豊漁を祈願して旧暦の元日に行われる「和布刈神事」で知られていますが、神社としては全国でも珍しい「終活」事業に取り組んでいます。その背景を取材しました。
海とともにある歴史
約1800年前に創建されたといわれる和布刈神社は、月の女神「瀬織津姫(せおりつひめ)」をまつっています。潮の満ち引きをつかさどる"導きの神"として、人々の道を関門海峡から照らしてきた歴史を大切にしているといいます。
伝統の和布刈神事をはじめ海とのつながりが深い同神社は、2014年から「海葬(海洋散骨)」を始めました。
最後の道先を照らす
32代目の神主・高瀨和信さんは、全国の神社の衰退を危惧しています。コンビニの数より多いとされる神社ですが、主な収入源は「賽銭(さいせん)」「祈願」「お守り」の三つ。これは、地方で先行する人口減少が進むにつれて、神社の存立基盤が揺らいでいくことを意味しています。
収入が正月三が日に集中している現状も是正し、神社のあるべき姿を目指していこうと、和布刈神社が着目したのが人生の最後の道先を照らす「終活」事業でした。具体的には、生前整理、相続、遺言、葬儀、散骨・納骨、供養など人生のおわりに必要なすべてを神社がサポートし、執り行います。
神社をあるべき姿へ
神社のあるべき姿とは――。高瀨さんに尋ねると、「神社は本来、人生の節目を祝う儀礼や亡くなった方の弔いなど冠婚葬祭を通して、人知を超えた概念への敬意を示す機能を持つ場所。私は、日本人が大切にしてきた、昔からある自然崇拝を取り戻したいと考えています」と、その思いを語ってくれました。
高瀨さんは、全国の神社に「終活」事業を提案するとともに、一般に向けて終活セミナーや海洋散骨の体験会、エンディングノートの作成会などを開いています。
和布刈神社
北九州市門司区門司3492番地
TEL 093-321-0749
公式サイト