期間限定「ねぶたバーガー」 見て味わう新名物が宗像に登場

高さ3.5メートルの巨大なハンバーガー形の「ねぶた」

記事 INDEX

  • 福岡教育大の学生が制作
  • 高さは”チョモランマ級”
  • 「SNSへの投稿、大歓迎」

 福岡県宗像市にある多目的施設・宗像ユリックスに、高さ3.5メートル、幅2メートルの巨大なハンバーガー形の「ねぶた」が登場し、訪れた人の注目を集めている。

福岡教育大の学生が制作

 その名も「チョモランマバーガー」。ねぶたは、本場の青森と同じ仕様で、表面に障子紙を貼り付けて制作。内部はLEDライトが点灯し、食紅で描かれたハンバーガーがリアルに浮かび上がる。


障子紙の内部からLEDで明かりを灯している


 作ったのは、同市の福岡教育大学で笹原浩仁准教授(60)の講座を受講し、中学や高校で美術の教諭を志す学生12人。昨年4月から週1回の授業で取り組み、11月に完成した。


制作中のねぶた(提供:笹原准教授)

 「美術教育での基本は個人での制作だが、一方で共同制作も求められる。みんなで議論して考えをすり合わせ、一つの作品として表現するには、ねぶたがふさわしい」と笹原准教授。10年前からねぶた制作に取り組み、これまでに巨大なカエルやキノコなどをモチーフに作ってきた。


宗像ユリックスに入るとすぐに目に飛び込んでくる

 一日限りの地元のイベントに合わせて制作した巨大なハンバーガー。その存在を知った宗像ユリックスの担当者が「一日だけの展示で終わらせるなんてもったいない。ぜひ、うちでも披露してほしい」と声を掛け、今回初めて同施設での展示が実現した。


advertisement

高さは”チョモランマ級”

 土台となる材木とLEDライトは、毎年引き継いで利用する。長さ100メートルの針金と、一番安いタイプの障子紙を使い、制作費は1万円以下ですんだという。


ねぶたの骨格を作る学生たち(提供:笹原准教授)

 針金は太いもので3ミリほど。ペンチを手に試行錯誤しながら取り組んだ緒方萌さん(20)は「一番難しかったところは、エビの尻尾の部分。針金を扱うのは初めてで、硬くて細かいところを表現するのには苦労しました」と振り返った。


巨大なエビの尻尾部分

 制作にあたっては、12人の学生がそれぞれアイデアを出した。カメレオン、パフェ、スフィンクス、ペンギンなどが候補に挙がったという。話し合いと投票により、「ハンバーガー」に決定した。3チームに分かれ、それぞれ「レタスバーガー」「エビバーガー」「ベーコンエッグバーガー」をデザインして制作し、歴代で一番の高さに仕上がったという。


トラックで3回に分けて運んだ(提供:笹原准教授)

 あまりにも巨大な作品になったため、三つに分割し、トラックで3往復して施設に運び入れた。


「SNSへの投稿、大歓迎」

 なぜハンバーガーに?

 「身近なものをあえて巨大にする方が面白いから」と答えが返ってきた。さらに掘り下げて聞くと、緒方さんは「ダイエットを気にせずに、いつかこんなハンバーガーを、思う存分食べたいといった欲求があるからかな」と、いたずらっぽく笑った。


SNS映えする巨大なハンバーガー

 制作は学生に任せている笹原准教授。「当初はちゃんと作品になるのだろうかと不安もあったが、想像もしない面白さを学生たちが表現してくれた」と笑顔を見せる。


抜群の存在感

 「こんなの初めて見ました。一体、何段あるのかしら。10、11、12……」

 バンズで挟んだ具材を数えていた中間市の林順子さん(87)は「まあ、立派なエビだこと。8か月もかけて作ったの? 気が遠くなりそう」と、天井を見上げていた。


撮影の楽しみ方も様々

 作品の前には「SNSへの投稿大歓迎」の案内板が。遠近法を使って、手に抱えて食べる光景を演じたりして、撮影を楽しむ人も多いという。


子どもにも大人気

 子どもたちには特に大人気で、入り口で見つけると「わー!」と歓声を上げながら駆け寄っていくそうだ。子どもの手が届きそうな高さには、リアルに表現されたベーコンや目玉焼きがあり、幼い指で突いたのだろうか、小さな穴がちらほら見られる。


所どころに指先が入る穴が

 施設側は、看板を立てたりパーティションを用意したりして、作品を穴から”防御″しているが、緒方さんは「作る側としては、むしろうれしいこと。近づいて、触りたくなるのもよく分かる」とほほ笑む。


点灯されたハンバーガーの内部

 作品は3月末まで見ることができる。展示後は、先輩たちの作った構造やその背景を学びながら、次の作品制作のために、学生たちが丁寧に解体するそうだ。



advertisement

この記事をシェアする