石炭館劇場「絵本会」が最後の公演 大牟田市民ら別れ惜しむ

最終公演を終えて、メンバーたちとあいさつする田中代表(右)

 福岡県の大牟田市石炭産業科学館で月1回、「石炭館劇場~みんなのおはなし会~」と題して、絵本の読み聞かせや紙芝居などに取り組んできた市民グループ「絵本・児童文学で大牟田を元気にする会(絵本会)」が3月19日、最終公演を行った。同劇場で活動を続けてきた「紙芝居三池座」の池田一徳さん(93)もラスト上演を披露。多くの市民が訪れ、別れを惜しんだ。

2年半の活動に終止符

 絵本会は、2020年度から小中学校などで読書ボランティアを続けてきた。同市の「ともだちや絵本美術館」では毎月第2、第4土曜日に読み聞かせを行っている。

 石炭館劇場は、科学館からの誘いで20年9月から毎月第3日曜日に開催。絵本の読み聞かせをはじめ、マジックショーや紙芝居など多彩なイベントを企画してきたが、内容を衣替えするため2年半の活動に終止符を打つことになった。同館によると、別の団体に引き継いでもらう形で来年度も続けていくという。

 最終公演では、読み聞かせのほか、一昨年夏に活動を終えた静岡市の人形劇団から寄贈を受けた人形を使い、絵本「ともだちや」の人形劇を披露。人形劇は初の取り組みで、今後の活動に取り入れていくという。

 田中昭子代表は「石炭館劇場では読み聞かせをするだけでなく、来場者を喜ばせる工夫を学ぶことができた。ここでの経験をこれからの活動に生かしていきたい」と話した。

名物紙芝居に大きな拍手

 池田さん率いる紙芝居三池座は、最後のステージで名作「瞼(まぶた)の母」を上演。終了後、会場から大きな拍手が起きた。


紙芝居を披露する池田さん(右)

 池田さんは元高校教諭で、熊本大付属幼稚園の園長時代には子どもたちに紙芝居の読み聞かせをしていた。退職後も大牟田市の三池地区公民館で紙芝居講座の講師を務め、2005年に三池座を結成。手作り紙芝居のレパートリーは100作品を超え、各地のイベントや施設などで披露してきた。定期的な活動は同劇場での上演だけだった。

 最後の上演を終えた池田さんは「年齢もあって活動が面倒になることもあったが、定期的に上演できるこの劇場は励みになっていた」と話し、安堵(あんど)の表情を見せた。今後も依頼があれば活動を続けていくという。

 紙芝居で母親役を担当した絵本会の田中代表は「気合が入った公演だった。池田さんの負けん気の強さを感じた」と振り返った。同市の主婦(67)は「声に張りがあって、力強い紙芝居に感動した。これからも様々な場で披露してほしい」と話した。


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