発売42年、まもなく販売3億本に ピエトロの和風ドレッシング
ドレッシング製造のピエトロ(福岡市)が生産する主力商品「ピエトロドレッシング和風しょうゆ」(280ミリ・リットル入り)の累計販売本数が、発売から42年の時を経て、3億本に迫ろうとしている。この間、販路は国内から海外にも拡大した。「子どもの野菜嫌いをなくしたい」。食卓の笑顔のために、これからも多くの人に支持され続ける味を届けていくつもりだ。
口コミから国内外の食卓に
ピエトロは、創業者の村田邦彦・前社長(2017年に死去)が1980年12月に福岡市内に同名のレストランをオープンさせたのが始まり。パスタがゆで上がるまでの間に、野菜をおいしく食べてもらおうと開発したのが和風ドレッシングだった。
当時としては珍しいしょうゆベースの味に、赤ピーマンやオリーブなどを加えた新感覚のドレッシング。開業から2か月が過ぎた頃に女性客から「分けてほしい」と頼まれ、ワインの空き瓶に詰めて400円で持ち帰ってもらった。これが口コミで広がり、次第に買い求める客が増え、81年6月に商品化。83年には地元百貨店の大丸福岡天神店でも取り扱いが始まった。
一方で、生産体制は十分と言えなかった。当初はアパートの一室で作っていたが、より広いスペースを求め、近くの寺の境内を生産拠点にしたこともあった。真冬はストーブの前に油が入った一斗缶を置き、中身が寒さで固まらないよう注意しながら作ったという。
「野菜嫌いをなくしたい」
90年には福岡県古賀市に製造工場を設け、生産体制を強化。テレビCMなどを通して人気は全国に広がった。今では年間2000万本を生産。欧州やアジアなどにも輸出しており、5月にも販売本数は3億本を超える見通しだ。
ピエトロの高橋泰行社長は「品種改良で成分が変わるタマネギのうまみを引き出すため、油やしょうゆなどとの配合バランスを常に改善してきた。一定の味を保ってきた努力が、消費者の支持につながっている」と自信を見せる。
2025年には古賀市に新工場を完成させる予定で、生産能力は1.5倍に上がる。海外向けも、市場が大きい米国全土での販売に向けて営業を強化しており、将来的には現地に工場を構えたい考えだ。
高橋社長は「ドレッシング販売は、ピエトロの存在意義を示すことにもつながる。野菜嫌いを1人でもなくせるよう、今後も品質の維持に努めたい」と意気込んでいる。