“恋”のカタチは様々!? 北九州市で「恋するいきもの展」
記事 INDEX
- オスの激しいバトル
- 虫なのに"イクメン"
- カニのダンスも魅力
様々な生き物の繁殖行動をテーマにした特別展「恋するいきもの展」が、北九州市八幡東区のいのちのたび博物館で開かれています。配偶相手を得られるように特徴的な見た目をしていたり、“イクメン”だったり――。生き物の不思議さや魅力を伝える展示となっています。
オスの激しいバトル
企画したのは、同館学芸員の竹下文雄さん(39)(水産科学)です。カニの仲間、ハクセンシオマネキの繁殖行動を研究しており、「生き物の不思議な行動や姿には、それぞれの意味がある。その奥深さを少しでも伝えたい」と、配偶相手を得るという生態に着目した展示にしたそうです。
会場には、動物の剥製(はくせい)や虫の標本など約300点を展示。メスを巡ってオス同士が争ったり、メスが配偶相手をより好みしたりする生き物を紹介しています。
「オスどうしの争い」のエリアでは、体長2メートルを超えるトドの剥製などが並びます。ハーレム(群れ)を巡って争うトドのオスは、メスより体格が大きいといいます。
キリンの頭部の骨格標本を見ると、オスはメスに比べてゴツゴツしていて重そうです。オス同士が首を振り回して争う際に、相手にぶつけて大きなケガを負わせることがあるようです。
北極海に暮らすクジラの仲間、イッカクの骨格標本も見どころ。オスは長くて鋭い牙があります。「オス同士の強さを比べるための指標」というのが有力な仮説です。
虫なのに"イクメン"
「メスによるオスのより好み」のエリアでは、オスが飾り羽を持つクジャクや、目が離れたオスが好まれるというシュモクバエなどを紹介しています。
“イクメン”の虫も。水辺に住むコオイムシは、父親だけで子どもの世話をする珍しい昆虫です。卵を背負っているオスの方が、メスに好まれるという実験結果もあるとのことです。
生き物の多様な性を伝えるエリアもあり、雌雄同体のアメフラシ(貝の仲間)や、オスからメスに変わるホッカイエビなどを紹介しています。
子どもたちに人気のカブトムシなどの生体を展示するコーナーもあり、オスとメスの違いを見比べられるように配置されています。
カニのダンスも魅力
会場には、竹下さんが研究を続けるハクセンシオマネキへの“愛”も、ちりばめられています。入り口付近では、実物の約50倍のオスの模型が来場者を迎えます。
ハクセンシオマネキは、北九州市の曽根干潟などにも生息。ダンスしているかのように大きなハサミを振るオスの求愛行動が特徴で、メスが近寄ってくると巣穴に誘うそうです。
こうした生態を広く知ってもらおうと、来場者が自由にハサミの模型を持って写真撮影できるようにしています。また、巣穴に呼び込むときの「グッグッグッ」という音を聞くことができるコーナーも設けています。
9月18日まで。竹下さんは「見た目のユニークさなどを楽しみながら、それぞれの生き方も知り、生き物の不思議さや奥深さを感じてほしい」と話しています。
イベント名 | 北九州市制60周年記念事業 「恋するいきもの展」 |
---|---|
会期 | 7月15日(土)~9月18日(月・祝) |
時間 | 9:00〜17:00 ※入館は16:30まで |
場所 | いのちのたび博物館 (北九州市立自然史・歴史博物館) (北九州市八幡東区東田2-4-1) |
料金 | 大人:800円 高校・大学生:500円 小中学生:400円 未就学児:無料 |
公式サイト | いのちのたび博物館 |