地域の魅力をふかぼり!ネットラジオ「関門オンエア」が好評
北九州市と山口県下関市の情報を発信するネットラジオ「関門ON AIR(オンエア)」が、2021年6月の放送開始から340回を超えた。「観光ガイドにも載っていないような地域の魅力を伝えたい」と、ローカル情報をきめ細かに発掘している。
「感動をリスナーと共有」
下関市のJR下関駅駅長室で7月下旬、関門オンエアMC(進行役)のノッポ(本名・石川雄一)さんが訪問収録を行っていた。石原純駅長と渡辺高史副駅長が、明治後期から列車の発車を知らせるために使われていた大型のハンドベル「振鈴」を紹介。石原駅長が「電子ベルに代わっていき、現存するのは下関の物だけと言われます」と説明すると、ノッポさんは「明治、大正の町にこの鈴の音が鳴り響いていたんですね」と感嘆した。
ノッポさんは下関市のレモン農家で、ダンサーとしてイベントなどにも出演。地元愛の強さとトーク力の高さなどからMCに起用された。収録は、関門自動車道壇之浦パーキングエリア(PA)にあるスタジオにゲストを招いて行うほか、レコーダーを持ち出して地域で活躍する人を訪ねることも多い。これまでに自治会長や飲食店主ら約110人にインタビュー。「地元出身の僕でも知らない話ばかりで毎回驚かされる。この感動をリスナーの皆さんと共有できれば」と意気込む。
「関門エリアに関心を!」
番組の仕掛け人は、ネクスコ西日本九州支社(福岡市)の地域共創担当部長の浜野昌志さんだ。同社は自治体と連携した地域振興に取り組んでおり、関門橋を挟む同PAとめかりPAが21年に刷新されたのを機に、周辺の情報を発信しようと始めた。「関門エリアには、有名な観光地以外にも見るべき場所がたくさんある」と説明する。
これまでの放送では、ビルマ(現ミャンマー)由来の門司の名物グルメ「ビルマうどん」が生まれた経緯や、フグを専門に扱う下関市の南風泊市場の話題などを紹介してきた。編集はネクスコ西日本の若手社員が担当。音声配信サービス「Voicy(ボイシー)」で、月水金の週3回配信し、公式ホームページからも再生可能だ。
北九州市門司区のリスナー、福田記子さんは「普段何げなく歩く町並みに、魅力が隠れているとラジオに教えてもらっている。この地に生まれたことを誇りに思うようになった」と声を弾ませる。
浜野さんは「旬の情報を伝え、多くの人に関門エリアに関心を持ってもらいたい」と力を込めた。