中止の関門海峡花火大会 来年へ思いはせる線香花火大会を開催へ

記事 INDEX

  • 今年の海峡花火大会は中止に
  • 線香花火1万5000本の配布目指し
  • 九州唯一の線香花火製造所が協力

 新型コロナウイルスの影響で中止が決まった関門海峡花火大会。開催を予定していた8月13日にあわせて線香花火をする「海峡線香花火大会」がSNSで話題です。企画した山口県下関市出身の美大生に話を聞きました。


advertisement

今年の海峡花火大会は中止に

 企画したのは、東京都内の美術大学生、中村周生さん。中村さんは昨年12月に帰省したまま、新型コロナの影響で授業がオンラインに切り替わったため、今も下関市内の実家で過ごしています。

 関門海峡花火大会は毎年8月13日、関門海峡を挟む北九州市と下関市で合同開催されます。昨年は両市合わせて90万人の人出でにぎわい、今年で33回目を迎える予定でした。

線香花火1万5000本の配布目指し

 今春、海峡花火大会の中止を報道で知った中村さん。大会に思いをはせる取り組みとして、線香花火大会を考えました。海峡花火大会で打ち上げられる花火の数に合わせ、1万5000本の線香花火を無料配布しようと計画しています。ツイッターで活動を始めたところ、「故郷を想うチャレンジを応援します」「綺麗な花火大会になるといいですね」など、多くの賛同が寄せられています。

 中村さんにとって、海峡花火大会は家族や友人との思い出だそうです。昨年も友人と訪れ、今年も楽しみにしていました。「今年は中止が決まり、素直にさみしいという思いが企画の動機です」と中村さんは語ります。

 海峡花火大会の中止が決まってすぐに動き出しました。大会のロゴをつくり、クラウドファンディング「無念の中止『関門海峡花火大会』の夜に、15000発の線香花火を」をスタート。支援金は線香花火の購入費などに充てられます。


advertisement

九州唯一の線香花火製造所が協力

 線香花火は外国産を配る予定でした。しかし、九州で唯一、線香花火を製造している福岡県みやま市の「筒井時正玩具花火製造所」が、中村さんの取り組みに共感して協力を快諾。国内ではここだけでしか製造していない西日本の線香花火「スボ手牡丹」を提供します。稲わらを使うこの花火のために、新たに就農して稲も育てているそうです。


関西地方を中心に親しまれてきた線香花火「スボ手牡丹」(提供:筒井時正玩具花火製造所)


 中村さんが一人で始めた取り組みですが、筒井時正玩具花火製造所のような協力者も増えているそう。線香花火は郵送禁止品にあたるためクラウドファンディングの返礼品とはせず、中村さんらが北九州市や下関市で配布する予定です。

 「線香花火があれば誰でも参加できるので、地元の人だけでなく、多くの人たちに参加してもらいたいと思っています」。8月13日には「#海峡線香花火大会」をつけたSNSの投稿に、来年の海峡花火大会の開催を願うメッセージなどを添えてほしいとも語ります。

 「海峡花火大会の代わりにはなれませんが、来年の大会に思いをはせ、線香花火を通じて時間を共有することで、つながりやコミュニケーションの場になれればいいと思っています」。中村さんは線香花火に願いを込めます。


advertisement

この記事をシェアする