車いす・ベビーカーを旅先で手軽にレンタル 福岡県が実証事業

福岡空港でレンタルした車いすの使い方を教わる石川さん(右)

 福岡県は11月1日から、車いすやベビーカーを福岡空港や博多駅でレンタルできる「福岡県どこでも車いす・ベビーカー実証事業」を始めた。空港や駅で借り、県内各地のホテルや観光案内所に返却して「乗り捨て」もできるのが特徴だ。高齢者や障害者、乳幼児がいる家族も気兼ねなく旅を楽しめる環境をつくり、旅行客のリピーターを増やすのが狙いで、来年1月末までの実証事業でニーズの把握に取り組む。

空港や駅で貸し出し

 11月2日、福岡空港の国内線旅客ターミナルビル1階の「しょうがい者・こうれい者観光案内所」。この日、北海道から飛行機で到着した公務員の石川拓郎さん(45)は、母親(68)のために車いすをレンタルした。

 母親は佐賀県唐津市出身で、石川さんらきょうだい3人は、約半世紀ぶりに同市の伝統の祭り「唐津くんち」などを見せたいと九州旅行に連れ出した。ただ母親はひざに痛みがあり、電車や徒歩での長時間の移動に不安があったという。石川さんは「旅の不安が解消された。交通の拠点でレンタルできるのはありがたい」と笑顔を見せた。


福岡空港では「しょうがい者・こうれい者観光案内所」で貸し出している


 車いすとベビーカーを貸し出すのは、国内線のほか、国際線旅客ターミナルビル、JR博多駅(日本旅行Tis博多支店)の3か所。年齢や障害の有無にかかわらず旅行を楽しめる「ユニバーサルツーリズム」を推進する県が960万円で民間に運営を委託し、車いすは計28台、ベビーカーは計53台を用意した。


 国内線での車いすとベビーカーの貸し出しは、那覇空港でも同様の事業に取り組むNPO法人「バリアフリーネットワーク会議」(沖縄県)が2019年から実施。貸し出し台数は、20年度が83台、21年度は150台、22年度は460台と増加し、コロナ禍が明けた23年度は4~10月だけで365台という。


 福岡空港で責任者を務める嶋田英史さん(48)は「今年は韓国や台湾など外国人旅行客の利用も多い。『博多駅で借りたい』という声もあり、ニーズは高い」と話す。

「乗り捨て」もOK!

 また、返却場所はこの3か所のほかに、福岡市や北九州市、久留米市、太宰府市、柳川市、飯塚市など県内10市のホテルや観光案内所など19か所を確保。空港や駅で借りて旅行先で「乗り捨て」ができる仕組みだ。

 まだ乗り捨てのニーズは見通せていないが、県観光政策課の隈井理絵係長は「各地に返却の拠点を設けることで、県内周遊を促進できるのではないか」と説明する。3か月間の実証事業を通して必要な台数や返却場所、運営費を見極めた上で、来年度以降、民間主導での本格的なサービス開始を目指すという。


実証事業のホームページ画面


 2日時点ですでに57件の予約があり、隈井係長は「県民の方でも、少し足腰が弱っていて近くを小旅行したいというときにご利用いただける。旅行プランに合わせて自由に活用してほしい」と話している。


 利用料は、車いすが1日1000円、ベビーカーは1日500円。予約はホームページのほか、福岡空港しょうがい者・こうれい者観光案内所(092-624-0888)で受け付けている。


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