期待を超える景色が話題に 福岡の市街地を一望できるカフェ

カフェからの眺望。福岡市・天神のパノラマが広がる

記事 INDEX

  • 川の先にビル群
  • テラス席の眺め
  • 非日常の感覚に

 「ロケーション神」「落ち着いた雰囲気が最高すぎた」――。そんな言葉がSNSに並ぶカフェが福岡市博多区の中洲地区にある。店の名は「GEISHA(ゲイシャ)」。ホテル「ゾンク中洲であい橋」の最上部に2021年にオープンした。午後3時の開店に合わせて訪ねてみた。


カフェはホテルの最上部にある


川の先にビル群

 眼下を流れる那珂川の先には西中洲や天神地区の建物群が広がり、ビルの合間から脊振山系が見える。南に目を向けると、はるか遠くに連なる山の稜線(りょうせん)も確認できた。


夕暮れの那珂川。西中洲のネオンが川面に映る


 店長の木本龍馬さん(33)に聞くと、カフェのスペースは元々、ホテルの事務所だったという。視界を遮るものがない福岡都心部のパノラマ。「事務所として利用するのはもったいない」との声が上がり、カフェを開くことになった。


「ゆっくり眺めを楽しんで」と木本さん


 外国人観光客も宿泊するホテルで営業していることもあり、来店客の3割は欧米やアジアからの旅行者だという。ほかに、そばに架かる福博であい橋から店の存在に気づき、「何の店だろう?」と訪ねて来る人もいるそうだ。


西日に照らされた福博であい橋。行き交う人の影が路面にくっきり描かれていた


 カウンター6席、テラス16席と、こぢんまり営業していることもあり、積極的には宣伝していない。ここを目指してくる人への”目印”として店の名前を掲げている。


橋のイルミネーションの先に見えるカフェ


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テラス席の眺め

 SNS全盛の今、このカフェの存在を知り、店を訪れた人たちは放ってはおかない。テラス席からの絶景は、TikTokなどで瞬く間に話題になった。


周辺の街並みを一望できるテラス席


 人気のテラス席に案内されると、ビル街が広がる眺望に「わー、すごい!」と感嘆の声がもれる。店では酒も提供し、夜の方が来店客も多いという。昼の時間帯は木本さんが1人で対応することも多く「眺めをゆっくり楽しんでもらえれば」と話す。


ハンモック席から眺める夜景


 外国人観光客を意識し、鉄器の急須でいれる八女茶(800円)もメニューに加えたが、意外にも、日本の若い女性に好評らしい。定番のコーヒーはこの立地で500円。サクサク生地のクロッフル(700円)は、店で一番人気のスイーツだという。


鉄器の急須でいれる八女茶


 人気の理由は、景色やメニューだけではないようだ。水たばこ「シーシャ」を楽しめる場所としても注目されている。


シーシャを楽しめる場としても話題だ


 店名の「ゲイシャ」は、外国人がよく知っている言葉でインパクトもある「芸者」と、「シーシャ」を掛け合わせて付けたそうだ。


窓を彩る「GEISHA」と「SHISHA」のネオン


 日が西に傾く頃、福岡市内の20代の女性2人が来店した。スマートフォンでおしゃれなカフェを探し、店の評価が高かったので足を運んだという。


ハンモック席で風景を楽しむ女性たち


 「夜景も見てみたい、イルミネーションがきれいだろうね」「ずっと揺られていたい気分」――。ハンモック席で1時間ほど″期待以上″の景色を楽しみながら、職場の話題や「恋バナ」に花を咲かせた。


「ずっと揺られていたい気分」


非日常の感覚に

 撮影が一段落して、テラス席で腰を下ろし、真下にある福博であい橋を行き交う人たちを眺める。

 北風を受けて絶えず変化する川面を見つめながら、考え事だろうか――、若い女性がずっとたたずんでいた。しばらくすると同じ場所で、正装したカップルが幸せそうに写真撮影をしていた。どうやら結婚式の前撮り写真のようだ。


橋の上でたたずむ女性(上)や、写真撮影するカップルの姿が


 沈みゆく太陽の光が、地面に映る影を長くしていく。ビル群の向こうに日が落ち、周囲に明かりがともり始めると、ものの30分で目の前の景色は一変した。


イルミネーションで輝く福博であい橋の周辺


 普段の視点では気づくことのない時間の進行、街の表情の変化を感じられた気がする。川辺に立つ建物でドリンクをゆっくり楽しみながら、日常の世界がすうっと後退していくような、不思議で心地よい感覚に浸ることができた。


ドリンクとともに優雅な時間を過ごすことができた



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