柳川の北原白秋生家・記念館で開館55年の記念イベント開催中

開館当初から販売されている絵はがきの原画

記事 INDEX

  • 晩年に懐かしんだ故郷
  • 復元の歩みを振り返る
  • 生誕140年で催し続々

 福岡県柳川市出身の詩聖・北原白秋(1885~1942年)が過ごした生家を改修・復元した北原白秋生家・記念館で、開館から55年になったのを記念する展示イベントが開かれている。来年は白秋の生誕140年の節目となっており、ほかにも白秋を顕彰する多数のイベントが計画されている。

晩年に懐かしんだ故郷

 同記念館によると、白秋の生家は明治時代末に北原家が柳川を引き払って上京した際、人手に渡った。1968年、取り壊されるという話が広まると、「晩年の白秋はしみじみと故郷を懐かしんだ。偉大な芸術家の生家を保存しよう」といった世論が高まり、柳川を中心に全国から浄財が寄せられた。


北原白秋生家・記念館


 改築されていた建物は、集まった約2950万円を使って、白秋の姉の証言などを基に、昔通りの「造り酒屋」風に復元。県指定文化財となり、69年に記念館として開館した。これまでに延べ約609万人が来場している。


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復元の歩みを振り返る

 会場には、保存活動を紹介する新聞記事や、寄付を呼びかける当時の書面、復元前の建物の写真などを展示。開館以来、来場した皇族や、湯川秀樹さん、遠藤周作さん、やなせたかしさん、黒柳徹子さんら著名人の芳名録、開館当初から販売している絵はがきの原画8点なども並んでいる。2025年3月31日まで。


会場で展示されている生家保存活動などに関する資料


 また、企画展「白秋がみた柳河~受け継がれる水の構図」も12月27日まで開催。昭和10年代の柳川の写真と白秋の詩を組み合わせた写真集「水の構図」について、掲載された写真と現在の写真とを見比べられるようにしたパネルを展示している。


 記念館の入場料は一般600円、高校・大学生450円、小中学生250円。高田杏子館長は「白秋と柳川を愛する多くの人の支援によって、今の記念館があることを知ってほしい」と話した。

生誕140年で催し続々

 企画展で使ったパネルは25年1月以降、柳川市民文化会館や市立図書館などでも展示することにしている。

 また、市文化協会などでつくる北原白秋生誕140年記念事業実行委員会によると、▽12月8日、地元合唱団による「柳河を柳川で歌う会」(柳川市民文化会館)▽25年1月25日、白秋生家から白秋詩碑苑までパレード▽1月26日、白秋作品を中心にした合唱イベント「詩が奏でるメロディ」(市民文化会館)――など、白秋を顕彰する約30のイベントが26年1月までに予定されている。


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