出所者雇用へ「塀の中」を知る 福岡刑務所で理解深めるツアー
出所者の雇用について刑務官らと意見交換する参加者
刑務所からの出所者の雇用を検討している事業者を対象に、刑務作業などを見学してもらう「スタディーツアー」が5月19日、福岡県宇美町の福岡刑務所で開かれた。同刑務所で2024年に続いて2回目となる今回は、初めて参加者と刑務官らの意見交換が行われた。県内を中心に、山口、佐賀、熊本各県から49社67人が参加し、出所者雇用の意義や課題などについての理解を深めた。
車座になって意見交換
「塀の中は意外と明るくてイメージが変わったが、受刑者は少し怖い印象だった」「出所者は離職率が高いと聞いているが、実際はどうか」――。意見交換で参加者は刑務官らと車座になって、熱心に質問したり、不安を吐露したりした。
スタディーツアーは、同刑務所と、出所者雇用について事業者を支援する法務省の総合相談窓口「コレワーク九州」の主催。同刑務所は九州で最も規模の大きな刑事施設で、再犯リスクが比較的高い男性の受刑者らを収容している。定員1600人に対し、現在は約850人が入る。4月1日時点の平均年齢は48.2歳で、罪名では覚醒剤などの薬物が34.2%、窃盗が28.8%と多くなっている。
「選択肢の一つにして」
意見交換に先立ち、参加者は洋裁や溶接、パソコンの解体といった受刑者らが行う刑務作業の様子や、布団やトイレ、テレビなどが備え付けられた居室、1日1回体を動かすための運動場などを見て回った。
建設業「菅谷鉄筋」(福岡市)の菅谷良太専務(37)は「所内を見学して中にいる人を身近に感じられた。うちの業界は人手不足が深刻なので、前向きに雇用を考えていきたい」と語った。
法務省によると、2024年の再犯者率は46.2%。23年の統計で再犯者の就職状況を見ると、無職者が72%を占め、出所後に仕事に就けないことが再犯リスクを高める恐れがある。
コレワーク九州の島本拓弥事務官は「事業者に出所者雇用について知ってもらい、選択肢の一つとしてもらいたい。再犯をさせないことは新たな被害者を出さないことにつながる。九州の中で人口が多く、刑務所も大きい福岡を起点に雇用を増やしたい」と話した。







