安産のお礼が誰かのお守りに 家族から家族へ、幸せが巡る宇美八幡宮の「子安石」

無数に積まれた子安石。出産のお礼に親たちが奉納した

 安産や子育ての神様として知られる福岡県宇美町の宇美八幡宮で、出産のお礼参りで親たちが奉納する「子安石」が増え続けている。

新しい生命への感謝をつなぐ

 宇美八幡宮は、神功皇后が応神天皇を出産した聖地とされ、宇美の地名も「産み」から転じたといわれる。


「古事記」や「日本書紀」にも記されているという宇美八幡宮

 神社には「子安石」と呼ばれる石が奉納されている。お参りした妊婦が預かって持ち帰り、「前にお産をした人の安産にあやかり、お守り代わりにする」という信仰があるそうだ。


親たちの思いが記された子安石

 本殿の裏手に「いくつあるのか見当もつかない」というほど多く積まれた子安石。祈願にあたっては独特の習わしがあるという。


境内の奥にはたくさんの子安石が積まれていた

 安産祈願を受けた後、奉納された子安石を一つ借りて持ち帰る。お産の鎮めとして、出産までの間、その石を神棚やたんすの上などで大切にする。無事に出産したら、海や河原で拾った石に子どもの名前、生年月日などを書いて、先に預かった石とともに奉納するというものだ。

 伊藤佳和宮司(56)が「全国的にも聞いたことがない」と言うこの風習は、江戸時代末期には始まっていたようだ。「長い年月を経て参拝者が作り上げた一つの信仰の形になっています」


石に込められた我が子への愛

 子安石には様々な言い伝えもあるようだ。目を閉じて利き手と反対の手で石を選ぶ、選んだ石に書いてある性別と同じ性別の子が生まれる――など。伊藤宮司は「直感で『これだ!』と、ビビッときたものこそ、その方に合った石」と話す。


社殿の周囲にもたくさんの子安石が


 境内には子安石を奉納する場所が複数あるが、数年であふれるほど集まるため、その都度、本殿奥のほこらの周囲などにちりばめているという。


奉納する子安石を持参し、赤ちゃんと一緒にお礼参りに訪れた村山さん

 6月に生まれた赤ちゃんを抱いて福岡市内からお礼参りに訪れた村山恵美子さん(34)は「子安石がそばにあることで、私たちを守ってくれているようで安心できました」と笑顔で話してくれた。


子どもへの思いが込められた子安石

 丸みを帯びていたり、ごつごつしていたり――。形も大きさもばらばらで、どれも個性的な子安石。丁寧に書かれた文字や絵からは、子どもの健やかな成長を願う親の思いがうかがえ、石の一つ一つから深い愛情が伝わってきた。



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