北九州・魚町銀天街をふかぼり取材 アーケードの上で目にした世界は?

記事 INDEX

  • 国への直談判で「試験的に」設置
  • アーケードの上に広がる世界は?
  • 受け継がれた誇りと心意気の象徴

 北九州市小倉北区の魚町銀天街は戦後間もない1951年、日本で初めて公道上に屋根を設置したアーケード商店街です。ささっとー編集部がアーケードの秘密をふかぼり取材してきました。


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国への直談判でつかみ取ったアーケード

 魚町商店街振興組合によると、アーケードは当時の商店主たちが国へ直談判して実現させたそうです。前例がないことを盾に、設置を認めようとしなかった地元行政。しびれを切らした商店主たちがとった行動でした。

 どうして当時の商店主たちは、アーケード街に執着したのでしょうか。それは、百貨店対策。雨にぬれずに買い物ができる百貨店へ客が流れることに、商店街は強い危機感を持っていたそうです。直談判の結果、国からは「試験的に」建設が認められました。

 「銀天街」の名称は約6000通の公募から選ばれました。「銀の天井に輝く街」が由来です。魚町にアーケード商店街が誕生して以降「銀天街」の名称は各地に広がり、魚町には「銀天街発祥の地」の碑が立っています。

アーケード上から見た景色


アーケードの上から見た勝山通り

 今回、魚町商店街振興組合にお願いして、普段は立ち入りできないアーケードの上部を取材してきました。

 通常は清掃や工事の業者が上がるだけ。ビルだと3~4階の高さに相当するアーケード上には、人が通れる狭い足場があります。脇には通信ケーブルが張り巡らされ、よけながら進んでいきます。


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 魚町商店街振興組合の代表理事・梯(かけはし)輝元さんは「子どもの頃は遊び場でしたよ。よそのビルに忍び込んで、仏壇から食べ物を取ったりして」と懐かしみます。


 魚町銀天街は2019年、全国の優れた商店街を表彰する中小企業庁の「はばたく商店街30選」に選ばれました。国連が掲げる「持続可能な開発目標(SDGs)」の普及、空きビルや空き店舗を改修する「リノベーション」の取り組みが評価されました。

 梯さんは言います。「昔から、新しい価値観をつくり出してきたのが魚町銀天街。それを広め、若い世代に伝えていくのが私たちの役割です」。魚町銀天街のアーケードは、昔から受け継がれてきた魚町の誇りと心意気の象徴なのです。

移動支局「アポロ号」は14日に帰還しました

 北九州市小倉北区の小倉井筒屋前「船場広場」で10月12~14日に移動支局として活動したレトロバス「アポロ号」は、14日夜に帰還しました。みなさんとまた出会えることを、ささっとー編集部一同、楽しみにしています。多く方のご来場、ありがとうございました。



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