賞味期限は秒単位!おいしいさの頂点を味わう「瞬間グルメ」
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記事 INDEX
- 最適な状態で
- できたて食感
- 本店だけの味
賞味期限が極端に短い「瞬間グルメ」が福岡県内でも注目されている。すぐに溶けたり食感が変化したりするからこそ、「最高においしい瞬間」を味わう特別感があるのが人気のようだ。
最適な状態で
久留米市にある「洒落(しゃれ)CAFE」が提供するのは、賞味期限30秒の「あげパンアイス」。一番人気の「みるみるく」(730円)は、揚げたてのパンに絞ったバニラ味のソフトクリームがあっという間に溶けていく。
同市の会社「洒落」の髙山賢人社長が、「久留米を盛り上げよう」と中学時代の友人3人とともに2022年11月にオープン。「久留米の街の雰囲気を感じてもらいたい」との思いから、店に来なければ食べられないメニューを考案したという。
友人と店を訪れた市内の専門学校生は、「一度食べるとまた食べたくなる」と笑顔。髙山さんは、「久留米のソウルフードに育て、地元ににぎわいを取り戻したい」と意気込む。
「瞬間グルメ」はホットペッパーグルメ外食総研が19年から使い始めた言葉で、同総研の有木真理所長によると、18年頃から賞味期限の短さをアピールする店が登場。持ち帰りやお取り寄せはできず、店に行かないと食べられないプレミア感が人気の理由で、有木所長は「客に一番おいしい状態で食べてもらうことができるなど、店側にもメリットがある」と説明する。
できたて食感
北九州市小倉北区の「SHUN PAN LABO(シュンパンラボ)」は、賞味期限60分の「クリームクロワッサン」(150円)を販売している。クロワッサンは直前に焼き上げ、サクサクの食感が損なわれないように、クリームは注文が入ってから注入する。
店長の藤川俊さんが「できたての食感を味わってもらいたい」と、22年秋に提供を始めた。1日50個限定で、午後3時の販売時間になると行列ができ、10~20分ほどで完売するという。
22年8月にオープンした福岡市早良区の「福丸茶房」のたい焼きは、賞味期限60秒だ。注文が入ってから焼き、熱々の生地にバターの塊を差し込んで提供する。
店長の平山昌伸さんによると、あんことバターの組み合わせを様々に変えて試行錯誤し、あまじょっぱさが最も楽しめる食べ方にしたという。定番は「あんバター」や「さつま芋あんバター」(いずれも280円)で、バターが溶けていく様子をスマートフォンで急いで撮影する客も多いそうだ。多い日は600個以上売れており、平山さんは「熱々を急いで食べるわくわく感も味わってほしい」と話す。
本店だけの味
福岡市博多区の石村萬盛堂本店では21年7月から、賞味期限30分のスイーツ「つるのこのこ」(750円)を提供している。
同社はマシュマロの菓子「鶴乃子」で知られるが、作った直後のマシュマロは口に入れるとシュワッととろける食感が楽しめるという。「つるのこのこ」は、カップにできたてのマシュマロを流し込み、上に球体のマシュマロも載せた。30分以内に食べないと、カップ内のマシュマロが固くなってしまうという。
「できたてのマシュマロの味を知ってほしい」と2年ほどかけて開発。「鶴乃子」の子という意味で命名した。本店でしか食べられないため県外から訪れる客も多く、「マシュマロの概念が変わった」とリピートする人もいるそうだ。
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