希望あふれる旦過市場に 焼け残った壁を彩るクジラの絵
昨年2度の大規模火災に見舞われた北九州市小倉北区の旦過(たんが)市場で5月9日、火災で焼け残った店舗の壁にクジラなどを描いた壁画が完成し、お披露目された。
復興支援への感謝を伝えるため、同市場商店街などが実施している「タンガ リボン フェス」の一環。壁面に彩りを加え、市場のにぎわいにつなげようと、同市がフェスに協力し、同市出身で詩人・画家の木村詩太(うーた)さんに制作を依頼した。
作品は縦約3メートル、幅約14メートルで、タイトルは「希望あふれる日常」。5月1日から制作を始め、火災の痕跡が残る壁面に大小5頭のクジラなどを描いた。作品下部には、市場の客ら約300人がカラフルに塗った木片を取りつけた。木片は、閉店した店舗の売り場台などの廃材を利用したという。
1度目の火災後の昨年5月に、木村さんが市場関係者の子どもらと描いた絵がアーケードに飾られており、市場内での作品は2点目となる。木村さんは「クジラの一部には、壁の色をそのまま残した。旦過の人々が1年間、築いてきた日常や希望を表現しようと思った」と語り、同商店街の中尾憲二副会長は「火災の爪痕のような壁だったが、希望あふれる絵ができて元気づけられた」と喜んでいた。