北九州市がEV路線バス導入 CO2排出ゼロへ普及啓発
北九州市交通局は6月30日、電気自動車(EV)開発のベンチャー企業「EVモーターズ・ジャパン」(北九州市)が製造したEVバスを市内の路線バスに導入する。2050年までに温室効果ガスを実質ゼロにする「カーボンニュートラル」の普及啓発が目的で、6月27日には報道機関向けの試乗会が行われた。
導入するのは、小型コミュニティーEVバス1台で、乗客定員は28人。二酸化炭素(CO2)を排出せず、ディーゼル車に比べて走行音も小さいのが特徴だという。
災害時は移動電源車に
1回の充電で最大290キロの走行が可能。充電は若松営業所で行い、再生可能エネルギー100%の電気を利用して3、4時間で完了する。また、バスの各座席には携帯電話などが充電できるUSBポートがあり、災害時には移動電源車としても活用できる。
事業費は車体と充電設備の設置費用など合わせて約5700万円で、国の補助金を活用。戸畑駅(戸畑区)や若松渡場(若松区)などを走り、平日は7路線、土曜日は9路線、日曜・祝日は5路線をそれぞれ1日1回運行する。
試乗会は北九州市役所周辺で行われ、約10分間走行。EVのモーター音やタイヤが路面をこする音は車内に聞こえたが、比較的静かで排ガスのにおいもなかった。バス前方の側面やナンバープレート付近には「EVバス」と表示し、電気コードの絵もあしらわれている。
市交通局営業推進課は「市民にはEVバスを利用することで環境問題を考えるきっかけにしてほしい。費用対効果を検証し、EVバスをさらに導入するかどうかも検討していきたい」としている。