北九州市立大の新学部「情報イノベーション学部(仮称)」の旦過(たんが)市場(北九州市小倉北区)への設置が5月31日、正式に発表された。市役所で記者会見した武内和久市長は「市場の中に大学が設置される画期的なチャレンジ。多くの若者が都心で活動することで、新たな技術革新を生む起点になれば」と期待を込めた。
旦過市場では、防火対策や近くを流れる神嶽川の水害対策として再整備事業が進められており、新学部は河川沿いに民間と連携して建設する建物に入る。同大と市場側で整備費用の分担などについて協議し、2024年度中の基本設計、25年度中の実施設計を経て、26年度に着工、27年4月の開設を目指す。
新学部を巡り、同大はIT企業と連携しやすい小倉エリア中心部での開設を想定し、1月下旬、市にキャンパス選定などに関する支援を要望。3月には市場側がにぎわい創出を見据え、同大と市に市場内での開設を求めていたが、市議会で議会でも議論すべきだとの決議案が可決され、設置場所の決定時期が大学側の希望していた同月中からずれ込んでいた。
まちの発展に貢献
会見に出席した同大の津田純嗣理事長は「IT企業が集積している小倉都心部に新学部を設置することで、市への企業集積やまちの発展に貢献できる」との見解を示し、同席した旦過市場商店街の中尾憲二会長は「ITなどとは縁がなかった市場なので、そういう波を若い人に持ち込んでもらいたい」と歓迎した。
新学部の整備費用は概算で約18億円。このうち13億5000万円は国の助成金を活用し、残る4億5000万円を同大と市で負担する見通しだ。柳井雅人学長は「資金の調達は寄付やクラウドファンディングなど最大限の努力をしたい」と述べた。