築57年の田川市役所、新築移転へ 2029年度着工めざす
福岡県田川市は9月17日の市議会総務文教委員会で、耐震不足などを理由に、築57年の市役所本館と別館を免震構造で新築移転する方針を示した。事業費は72億8000万円(概算)となる見通しで、市は2025年度から基本構想などの作成を進め、29年度の着工、早くて31年度からの移転を目指す。
安全性や機能性を踏まえ
市によると、候補地は、いずれも市有地の旧市立病院や旧中央中学校、旧田川東高の跡地。教育委員会や保健センターなど、現在の別庁舎の機能を1か所に集積した場合、事業費はさらに15億円程度増える見通し。
市役所の本館(5階)と別館(2階)は1967年建築の鉄筋コンクリート造で、延べ床面積は計約9000平方メートル。2007、8年度の耐震診断では「地震で倒壊、崩壊の危険性が高い」とされ、市は部分的な耐震改修を行っていた。
その後、大規模な耐震改修を検討したが、仮庁舎も含め費用が13億~30億円と高額になることが判明。このため、〈1〉新築移転〈2〉旧中央中学校の校舎などの改修と不足分の庁舎新築〈3〉校舎などの改修・耐震化と不足分の庁舎新築――を検討していた。
この日の説明では、〈2〉〈3〉の校舎などの改修と不足分の庁舎新築では事業費が56億1000万~57億6000万円と低い一方、耐用年数は15年程度で、新築移転の65年より短く、新たな建て替えコストが必要とした。安全性や機能性を踏まえた評価点は新築移転が最も高かった。
村上卓哉市長は委員会後、読売新聞の取材に「長期的なコストに大差はなく、安全性を踏まえて新築移転が最善と判断した」と理解を求めた。