月が出た出た 田川「コールマイン・フェス」に向けCF実施

寄付を募っているCFサイトのトップ画面

記事 INDEX

  • 「発祥の地」をPR!
  • 炭都の歴史を体感
  • 地域の誇りを発信

 福岡県民を中心に長く親しまれている盆踊りの定番「炭坑節」。その発祥の地・福岡県田川市で開かれる恒例イベント「TAGAWAコールマイン・フェスティバル~炭坑節まつり~」を成功させたいと、フェスの実行委員会がクラウドファンディング(CF)で寄付を募っています。CFに取り組むのは今回が初めて。担当者は「支援を寄せてもらうのはもちろん、CFがイベントを広く知ってもらうきっかけにもなれば」と話しています。

「発祥の地」をPR!

 石炭産業で栄えた田川市は、炭坑節発祥の地を広くアピールしようと、2006年からフェスを開催しています。16回目を迎える今年は、11月2、3日に市中心部の石炭記念公園で開かれます。前回23年は市内外からのべ約5万人が集まり、クライマックスの総踊りではおよそ3000人が輪になって、炭坑節を歌い踊りました。


公園の広場で行われる総踊り


 担当者によると、人件費や物価の高騰によってイベント運営費の負担が重くなっており、広く支援を求めるためCFを行うことに。寄付はCFサイト「READYFOR」で、フェス最終日の23時まで受け付けます。寄せられた支援金は、今回の会場設営費や警備費に充てることにしています。


 目標額は100万円で、500円~5万円の7コースを用意しています。返礼品はなく、協力者の名前を会場に掲示するとともに、公式ホームページに掲載します。


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炭都の歴史を体感

 〽月が出た出た 月が出た 三井炭坑の上に出た あんまり煙突が高いので さぞやお月さん 煙たかろ――。

 炭坑節の歌詞に出てくる「三井炭坑」は、同市で操業していた三井田川鉱業所で、現在は石炭記念公園として整備されています。「煙突」はボイラーの排煙用として当時使われていた市のシンボル「二本煙突」です。


キャンドルの明かりがともる伊田坑跡


 元々は、石炭の選別作業に従事する女性たちの仕事唄として生まれました。それが戦後にラジオを通して全国に広がり、盆踊りの歌として定着しました。


 歌詞は複数存在し、大牟田市の三池炭鉱を歌ったものもあります。発祥の地を巡っては、両市長が1962年に会談し、田川を本家、大牟田を分家とすることで合意したという記録が残っています。


 フェスは、田川のそんな歴史や文化を体感できる機会です。

地域の誇りを発信

 日中はステージイベントを中心に、保存会による”正当派”の踊りのほか、パフォーマンスグループ「田川創作炭坑節宗家 月咲SEED(サクシード)」がロックや沖縄民謡などのリズムを取り入れてアレンジした”創作炭坑節”などが披露される予定です。

 屋台も軒を連ね、初日の夜は、地元の子どもたちが絵を描いたキャンドル約2万2000個を公園内の広場に並べ、明かりをともします。近くにそびえる二本煙突と、地上と坑道を結ぶエレベーターを昇降させた竪坑櫓(たてこうやぐら)もライトアップされ、夜の石炭記念公園に炭鉱遺産の姿が浮かび上がります。


CFサイトで公開されている主なイベント


 最終日のクライマックスは、「炭坑節発祥の地」の宣言に続いて始まる総踊りです。総踊りは1時間ほどあり、最初の30分は生の歌と演奏で会場を沸かせます。後半は、学校の運動会や地区の祭りで代々使われてきたCD音源を再生し、なじみのあるメロディーに合わせて全員で踊りを続けます。


 担当者は「田川の人にとって炭坑節は、子どもの頃から体に刻まれてきたリズム。祭りは石炭で栄えた歴史や文化を肌で感じられるイベントで、CFサイトを通じて全国に伝われば」と期待しています。



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