路上生活者「無欲の姿」撮る 糸島の作家が福岡市で個展

 カメラで撮影した被写体を印画紙ではなく和紙や木の板などに焼き付けた写真作品を制作する福岡県糸島市の作家、セルゲイ草柳さん(84)の個展が、福岡市中央区の県立美術館で開かれている。作品の多くは欧州で出会った路上生活者をモデルにしており、セルゲイさんは「何も持たないことの素晴らしさを感じてもらいたい」と話している。2月24日まで。

和紙や板に焼き付ける独自手法


作品を紹介するセルゲイ草柳さん

 会場には、フランスやイギリスの街角でハトにえさをやったり、ギターを弾いたりして、気ままに過ごす路上生活者の姿を写したモノクロ作品約50点が並ぶ。

 和紙や木の板、鉄板、石などに焼き付ける手法は、20年ほどかけて独学で編み出した。15年ほど前から二眼レフカメラを携え、海外取材に出掛けるようになり、「放浪者の目」で約1万2000コマを撮影。長年、撮影助手を務めた妻の貞枝さんは4年前に亡くなり、今回は「妻のために」と新作も展示している。

 セルゲイさんは「欲のない路上生活者は私にとって人生の師。お金や時間に追われている人にも、彼らの良さを感じ取ってもらえたら」と話している。

 会場は3階展示室3号室。入場無料。午前10時~午後6時。


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