【鹿児島】厄介者「イスズミ」を弁当に 漁協などが開発中

 鹿児島県の山川町漁協(指宿市)などは、藻を食べて磯焼けの一因となっている魚のイスズミを使った料理の開発を進めている。メニュー開発を進めて消費を増やすことで、海の厄介者の有効活用と藻場の保全につなげる。


独特の臭みなどから食用にしづらいイスズミ(山川町漁協提供)


有効活用→藻場の保全に

 同漁協によると、イスズミは浅い海の岩礁域や消波ブロック周辺などに生息。独特のにおいがあることから食卓に並ぶことは少なく、市場価値も低い。近年は温暖化による海温上昇で、活動が活発になっているが、定置網などで捕獲されても使い道がなく、ほとんど捨てられているという。

 同漁協は有効活用できないかと、ホテルなどを運営する城山観光(鹿児島市)に協力を求め、5月からイスズミを活用したメニュー開発に取り組んできた。時間がたつとにおいが出やすくなるため、新鮮なうちに、調理することが必要という。

 6月24日には同漁協理事の川畑友和さんや城山観光和食部門料理長の長崎雄二さんら5人が県庁で塩田康一知事にイスズミの西京焼きや黒酢あんかけなどの料理が詰められた弁当を紹介。口にした塩田知事は「臭みがなく、どれもおいしい」と舌鼓を打った。

 今後も改良を重ね、一般の食卓でも調理できるようなレシピを考案していくという。川畑理事は「海から離れた人たちにも口にしてもらうことで、環境を守ることにつなげていきたい」と話している。


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