国重文「今村天主堂」保存へ 大刀洗町がクラファンを開始

 築110年を超える福岡県大刀洗町今の国重要文化財「今村天主堂」の工事費用に充てるため、町が寄付を募っている。これまでも継続的に協力を求めてきたが、6月に本格的な修繕工事が始まり、地域の信徒らの負担は約1億5000万円に膨らんだ。町の担当者は「負担を少しでも軽減するため、支援をいただきたい」と呼びかける。


本格工事を行っている今村天主堂

 修繕は地域の信徒などで作る同天主堂保存会が計画した。2034年の完了を目指し、6月に起工式を行った。費用は総額約37億円で、物価や人件費の高騰もあって当初の二十数億円から膨らんだ。国や県、町の補助金を充てるが、保存会も約1億5000万円を負担する。

 町はふるさと納税制度を活用し、「さとふるクラウドファンディング(CF)」で資金を集める。17年度以降、8回のCFを実施し、計約710万円の寄付を受けた。今回の目標額は200万円で、保存会の支援に充てる考えだ。


工事は2034年の完了を目指す


 町によると、現在の天主堂は1913年(大正2年)に完成した。二つの塔を持つ赤レンガ造りで、多くの教会建築を手がけた鉄川与助(1879~1976年)が設計と施工をした。2015年に国の重要文化財に指定されている。

 老朽化が著しく、耐震診断では大地震で倒壊する可能性が指摘され、内部への立ち入りを制限している。本格的な修繕工事が必要と判断して調査したところ、建物の基礎部分の柱の一部が腐り、宙に浮いている場所も見つかった。

 同町企画財政課の渡辺直也企画係長は「重要な歴史的建造物で守っていきたい。思いに賛同した方の支援をお待ちしている」と話した。

 CFは2026年3月31日まで。問い合わせは同課(0942-77-0355)へ。


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