野菜のほっこりイラスト のだぎりさんが筑後市で作品展

2025.07.30

自身の畑で、作品のすごろくを手に「世界中の人をほっこり笑顔にさせたい」と語るのだぎりさん


 野菜のキャラクターを描いて食育や農業に関心を持ってもらう活動をしている福岡県筑後市在住のイラストレーター・のだぎり(本名・野田隼人)さん(39)の作品展が、同市若菜のサザンクス筑後で開かれている。野菜作りを通して心身の不調を克服した自身の経験から「いろんな野菜たちを見て、ほっこり笑顔になってもらえれば」と話す。8月2日まで。


80種類の野菜モチーフ 総選挙も

 普段はおっとりしている下ぶくれ顔の「なすびくん」は、仲間がピンチに陥ったときには抜群の運動能力と歌唱力を発揮。どこか哀愁を帯びた表情の「だいこんさん」は若い頃に脚立から落ちて腰を痛めている――。


作品「お野菜さんたちと地球をほっこり笑顔に」=のだぎりさん提供

 会場では、表情豊かな約80種類の野菜キャラクターを始めとする作品約500点が、ギャラリーやロビー、廊下などに所狭しと展示されている。大きな野菜の顔出しパネルで来場した子どもたちが記念撮影を楽しめるほか、キャラクターの人気ナンバーワンを決める「総選挙」も行っている。

自然の生命力に癒やされ、キャラ誕生

 筑後市で生まれ育ち、有明高専(大牟田市)に入学。最終学年の5年生で進路に迷い、20歳で中退した。好きだったイラストを集中して描くようになり、出版社主催のコンテストで入賞。21歳でイラスト集「I am ナナシ」を出版した。

 その後は約10年間、特別養護老人ホームなどの職員や会社員として働いた。多忙な仕事や人間関係などでストレスを抱え、心身不調で左耳が難聴になった。

 転機は退職後、自宅隣の畑で祖母の野菜作りを手伝う中で訪れた。「春夏秋冬の自然のリズムで育つ野菜の生命力に癒やされ、生き急いでいた焦りから解放された」という。


会場を訪れた子どもたちに塗り絵を教えるのだぎりさん(右)

 野菜への感謝を胸に次々とキャラクターを生み出し、個展を開催。食育や農業、アートを生かした地域おこしの大切さを伝えようと、小中学校や保育園などでの出張アート教室、収穫体験会を通じて活動の幅を広げた。昨年3月には2冊目の著書となる絵本「たまねぎとしこさん」(光陽社)を出版した。

 野菜だけでなく、文具など様々な物を擬人化して命を吹き込む。「無心で描くうちに自然と生まれてきた。郷土の筑後市から日本中、世界中で愛されるよう育ってほしい」と語る。

 入場無料。午前9時~午後7時(最終日は午後2時まで)。問い合わせは、のだぎりさん(070-1989-1935)へ。


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