福岡県大牟田市は、同市草木のJR銀水駅を利用する高校生や地域住民らからの寄付金などを活用し、半世紀前に設けられた同駅のトイレを最新式の水洗トイレに改修し、2月24日に落成式を行った。「古くて汚いトイレをみんなが利用したくなるようなトイレにしてほしい」との声が多く寄せられていたこともあり、住民らは「トイレは駅利用者だけでなく地域にとっても必要な施設。ようやく願いがかなった」と喜んでいる。
銀水駅近くには三池高、大牟田中・高、誠修高があり、多くの生徒が乗降している。駅舎隣にあった木造トイレは1979年に建てられた。男女共用のくみ取り式で、大便器は和式。老朽化が進んだこともあり、数年前から「使いたくない」「きれいなトイレがいい」という意見が相次いでいた。
銀水校区まちづくり協議会(森本正人会長)などは、JR九州や大牟田市に改修を求めてきた。2023年5月には、各高校や同窓会などと改修を求める実行委員会を設立。街頭などでの募金活動や、SNSを使って寄付を募るクラウドファンディングを実施して浄財を集め、同年11月、1000万円を市に寄付した。
こうした動きを受け、市は24年10月に着工。寄付金を含めた総工費は約4200万円で、設計費や周辺整備などを除いた直接の工事費には約3000万円を充てた。
新しいトイレの建物は木造で、男性用は小便器2基と洋式大便器1基、女性用は洋式便器2基で、ほかに多目的トイレがある。建物外壁の黒い石こうボードは、「大牟田らしく石炭をイメージした」という。
落成式で、関好孝市長は「駅舎の雰囲気にマッチした外壁、清潔な内装。市が管理し、地域や学校が連携し、明るく、きれいなトイレとして使ってほしい」とあいさつした。
テープカット後、大牟田高2年の高田由愛(ゆめ)・生徒会長(17)は「列車通学しているが、以前のトイレは(古くて)使ったことはなかった。完成してうれしい」と喜んだ。三池高2年の塚本柚来(ゆら)・生徒会長(17)は「(街頭で募金活動などをした)先輩たちのおかげで素敵なトイレができた」と感謝していた。
森本会長は「このトイレは地域の魅力を高め、利便性を高めてくれる。地域でトイレ清掃や周辺のゴミ拾いなどをして、大切に使いたい」と話していた。