不登校の子どもたちが対象で、福岡市内の公立学校では初となる学びの多様化学校・市立百道松原中学校が、同市早良区に開校した。不登校の生徒が年々増加する中、新たな学びの場として定着を図る。4月24日には開校式があり、転入学した95人が学校生活の再スタートを切る。
福岡市教育センター内に誕生
学びの多様化学校は文部科学相が指定し、学習指導要領にとらわれず、指導内容や授業時間を柔軟に決定できる。23都道府県に58校あり、福岡県内では北九州市や大牟田市など、4月開校分を合わせて7校が設置された。
百道松原中は4月、早良区の福岡市教育センターに開校し、8日に内覧会があった。新館2階と本館3階を一部改修し、整備した教室や図書室、美術室などが公開された。
登校時間は通常より約1時間遅い午前9時半に設定し、授業時間は一般的な中学校の年1015時間から770時間程度まで減らした。朝の会と帰りの会では、コミュニケーション能力の向上を目的としたゲームや短いエクササイズを取り入れ、放課後には生徒が興味のあることに取り組める時間を確保する。
市教育委員会によると、市立小中学校の不登校の児童・生徒数は増加傾向が続く。2023年度は5177人で19年度から倍増し、過去最多だった22年度の4400人を上回った。百道松原中は当初、3学年で40~60人程度を受け入れる想定だったが、転入学希望者に対する事前の面談には179人の申し込みがあったという。
広瀬知己校長は「一度不登校を経験した子どもたちが、リスタートしたいと願って入ってくる。様々な活動を通して人とのつながりを学び、一歩を踏み出せるような学校にしたい」と語った。