空きタクシーでライドシェア 宗像市で実証運行スタート

 福岡県宗像市は4月から、タクシー会社の空き車両を活用し、一般のドライバーが有償で乗客を運ぶ「公共ライドシェア」の実証運行を一部地域で始めた。現在運行する「コミュニティバス」の代替交通手段に位置付けており、バスの廃止と連動して段階的に実施区域を広げる。

「コミュニティバス」代替に


ドアなどに専用のステッカーを貼り待機するライドシェアの車両

 今回のライドシェアは、利用したい時間に希望の場所に行けるようにして、利便性を高めるのが目的。市都市再生課によると、市内のタクシー4社が受託し、空き車両計約40台で運行する。21日からは岬地区で2社が先行して始めた。運行時間は午前7時~午後8時。電話予約が必要で、7月からは専用アプリでも予約できるようになる。

 料金は地区内の移動が500円(70歳以上、高校生以下、障害者は300円)。地区外へは公共交通機関への乗り換えができる指定の5か所までとし、500~1000円(同300~800円)となる。2人以上の乗り合いになった場合は100円引き。タクシーのメーター料金より割安だが、コミュニティバス(中学生以上全区間200円)よりは高くなる。

 ドライバーは国土交通相の認定講習を受ける必要があり、実証運行に先立って数人が受講したが登録が間に合わず、当面はタクシー会社の乗務員が務める。

2027年度に全市へ

 市は今年度内に他の3地区でも実証運行を始め、2027年度に全市で本格運行に移行予定。1年で延べ約3万人、5年で延べ約26万人の利用を見込む。実証運行は次世代移動サービス「MaaS(マース)」の支援事業として国交省の補助を受けており、今年度の事業費は、委託費やアプリ開発費など総額約1億7500万円となっている。

 タクシー乗務員の男性(32)は「乗客のニーズに合わせて運行するので、バスと比べてドライバー側の負担は小さくなると思う」と話していた。


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