【熊本】SL100歳、八代で記念運行 来年度末で引退

 営業運転している国内最古の蒸気機関車で、JR九州の観光列車SL人吉をけん引する「58654号機」が11月18日、「100歳」を迎えた。来年度末での運転終了が決まっており、同日は熊本県の熊本―八代間を特別運行。八代駅では約500人が誕生日を祝った。


JR八代駅でファンに出迎えられる蒸気機関車「58654号機」

国内最古 58654号機

 1922年(大正11年)に完成し、九州各地で地球84周に当たる334万キロを走り75年に廃車になった。88年にSLあそBOYとして復活したが、2005年に車両がゆがみ引退。公園にある別の車両からパーツをもらうなど苦労を重ねて修理し、09年にSL人吉として再起した。20年7月の九州豪雨で肥薩線が被災し、今は鳥栖―熊本間を走る。

 特別運行は132席が予約で埋まった。熊本駅で乗車した佐賀市の主婦(53)は「子どもが小さい頃、一緒に乗った。記念列車は今日しか乗れないので楽しみ」と話した。


バースデーケーキも用意された


 八代駅には白煙を上げて到着。バースデーケーキが除幕された。同社の古宮洋二社長は、復活後の約30年で約90万人が利用したと紹介。「沿線の方々から本当に愛されていた」と感謝した。国鉄時代に人吉駅で勤務した高木正孝さん(93)は「さみしい、さみしいよ。兄弟のような機関車だから。動けなくなった後は、人吉に帰ってきてほしい」と声を詰まらせた。


 折り返し運転で汽笛を鳴らしてホームを離れると、住民らは姿が見えなくなるまで手を振り、「また来てね」と声を張り上げた。


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