【熊本】八代亜紀さん…ありがとう 献花台にファン次々
2023年12月30日に亡くなった歌手八代亜紀さん(享年73歳)をしのんで2月1日、故郷・熊本県八代市の市役所1階ロビーに献花台と記帳所が設けられた。設置は3月3日まで。「ありがとう」「ゆっくり休んで」。ファンの市民らが早朝から足を運んで花束をささげ、満面の笑みを浮かべる遺影に言葉を送った。
献花台は市民らの声を受ける形で市が設置した。会場には写真パネル15点も掲示しており、デビューのきっかけとなった市内のキャバレー「ニュー白馬」で歌う様子や、市の「よかとこ大使」に就任したときの笑顔、卓球に挑む姿など故郷との縁を紹介している。
この日は中村博生市長の献花に続いて、親交のあった人たちも次々と訪れた。
小学校の幼なじみで20代の一時期、東京で同居しながら付き人を務めた田中時代さんは、八代さんとは「あきちゃん、ときちゃん」と呼び合う間柄だった。「当時は『はい歯ブラシ、はいジーパン』と言って手渡すような忙しさだった」と思い出す。
共演歌手のヒット曲を歌うテレビの歌番組「夜のヒットスタジオ」に出演するときには、「歌詞を間違っては失礼」と言ってノートに何度も書き込んで覚えていたという。「とにかく努力家だった。今はただ、ゆっくり休んでほしい」と涙をぬぐった。
中嶋町獅子舞保存会の楮木孝一頭取(74)も、八代さんと交友があった。秋の「妙見祭」で披露する獅子舞の鉦(かね)が老朽化したことから八代さんの所属事務所に支援を求める手紙を送ったところ、300万円が送られてきたという。
こうして新調された15枚の鉦の裏には、八代さんの直筆サインが書かれている。「今年も会う予定だった。今も信じられない」と言葉を詰まらせる楮木さん。「鉦は100年は持つと言われており、ご恩は一生忘れない。いつまでも心の中には亜紀さんがいます」
市は「広報やつしろ」2月号でも八代さんを特集したほか、市長応接室に飾られている八代さんが描いた絵画「時空を超えて…幼想」も3月1日まで、3階秘書広報課前ロビーで一般公開している。2月29日には追悼の行事も計画している。