【熊本】八代駅でSL人吉引退式 人吉市へ譲渡の方針

 「101歳」の蒸気機関車(SL)が引っ張り、大勢の鉄道ファンに愛された観光列車「SL人吉」が3月24日、引退した。関係者を招いた式典がJR八代駅(熊本県八代市)であり、ホームに集まった住民ら約600人が別れを惜しんだ。


運行を終えたSL人吉の前で笑顔を見せる乗務員たち(JR八代駅で)


 式典に先立ち、沿線自治体の首長らを招待して熊本―八代駅間を運行した。JR九州の古宮洋二社長が「乗るたびに『まだいけるのでは』と思ったが、(今回で)最後にしたい」とあいさつ。運行に携わった機関士らに花束が贈られ、SLの釜から採った火を消す「火消し式」が行われた。


八代駅で行われたSL人吉の火消し式

 引退後、人吉市に無償譲渡される方針も明らかとなった。松岡隼人市長は「うれしいサプライズ。豪雨からの復興の後押しになる」と歓迎した。今後、JR側などと協議を進め、SLを動く状態で保存する「動態展示」を目指すとした。


花束を受け取る機関士ら

 人吉温泉女将(おかみ)の会「さくら会」の有村政代会長も「引退は本当にさみしくて涙が出た。人吉に来ると聞き、うれし涙に変わった」と笑顔を見せた。


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