【熊本】「SL人吉」をJR人吉駅前で展示へ 今秋に移送

 3月に営業運転を終え、熊本県人吉市に無償譲渡されるJR九州の観光列車「SL人吉」について、市は5月30日、今秋にJR人吉駅前の駐車場に移送して展示すると発表した。移送の過程を見学するツアーなども企画し、観光客誘致につなげる。


博多駅を出発する「SL人吉」(3月23日、福岡市で)


 JR九州の古宮洋二社長が地元の要望を受け、3月の式典の際に市へ無償譲渡する方針を示していた。運搬・設置費とツアー関連費計約9000万円は観光庁の補助金で賄う。その他の費用はクラウドファンディングなどを活用して確保するという。

 譲渡されるのは、1922年(大正11年)製造の蒸気機関車(SL)「58654号機」。市の活用計画によると、駐車場は広さ約3200平方メートルの市有地で、長さ約25メートルのレールや高さ1.2メートルのフェンスを設ける。市は隣接する人吉鉄道ミュージアムと合わせて、鉄道ファンらを呼び込みたい考えだ。


SL人吉の展示場所となるJR人吉駅前の駐車場

見学ツアーも企画

 車両は北九州市で分解、清掃後、三つに分けてトレーラーで陸送される。SLの「誕生日」とされる11月18日の展示開始を目指す。2025年度にはレールを60メートル程度にまで延長し、将来は乗車体験といった「動態展示」も検討するという。

 ツアーでは、車両の分解、清掃作業や、輸送の様子を見てもらう予定。25年2月にかけ、球磨川といった地元の自然や球磨焼酎などを楽しむツアーも企画する。人吉市の松岡隼人市長は「解体場面から見たいのではと思い、事業化を目指している。たくさんの方々に来てほしい」と話した。


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