【佐賀】鳥栖駅東側とホームの往来を便利に 市案決まる
現在は西口しかないJR鳥栖駅に新たな出入り口を開設し、駅東側の利便性を向上させる方策について、佐賀県鳥栖市は8月8日、線路をまたぐ既存の歩道橋「虹の橋」の横に改札連絡通路と渡線橋を設け、ホームとつなぐ案に決定したことを明らかにした。今後、整備に向けた設計作業に入る方針で、完成までの事業期間を8~11年と見込んでいる。
駅東側から、連絡通路と渡線橋で
市によると、決定した案では、虹の橋から改札連絡通路に出入りし、渡線橋とホームを階段やエレベーターで行き来できるようにする。既存の電気設備の移設費などを除く事業費は24億円で、事業期間のうち工事にかかるのは4~6年とみている。
市は2023年8月以降、商工団体の関係者らによる検討会に続き、JR九州の担当者も入った協議会を設置し、駅の南側地下通路を延伸した上で東口を設置する案との2案を軸に、複数の案を検討。事業の費用や期間のほか、費用対効果の試算が国庫補助金の採用要件を満たすことなどを考慮し、7月23日に市としての方針を決定した。
また、8月5日には向門慶人市長がJR九州の古宮洋二社長と面会し、実現に向けた協力を要請。同社からは6日付で「内容を承知した。市と連携を取りながら検討を進める」との回答を得たという。市は今後、予備設計の費用を2025年度補正予算案に計上し、より詳細な実施設計を26年度以降に行う予定だ。
鳥栖市は市街地が線路で東西に分断されているが、鳥栖駅には西口しかなく、駅前不動産スタジアムや商工団地がある駅東側と行き来するための利便性向上が長年の懸案になっている。向門市長は23年2月の市長選で、過去に市が白紙撤回した鉄道高架化を含むグランドデザイン(全体構想)の策定を主張。ただ、高架化には長期間を要するため、まずは短期的な施策として、駅の東口開設を目指す考えを示してきた。