【鹿児島】災害時に使える!! 美術館の「テレカ」が人気に
鹿児島市立美術館が販売するテレホンカードが人気を呼んでいる。1年間で1枚も売れない年もあったが、今年4月から災害時につながりやすい公衆電話で使えることなどをアピール。値下げ効果もあって6月からは1か月に約60枚が売れた。同館が所蔵する黒田清輝ら県ゆかりの作家の作品が印刷されており、記念品にもなると呼びかけている。
年間販売ゼロ→月60枚に!
同館は1988年に館内でテレホンカードを発売した。黒田の「アトリエ」や有島生馬の「スザンナ」など県ゆかりの作家のほか、パブロ・ピカソの「女の顔」やクロード・モネの「睡蓮(すいれん)」など同館所蔵の6作品と、同館の外観写真をあしらった7種類が販売されている。
いずれも50度数(500円分)で、当初は年間1000枚以上売れた年もあったが、2000年以降は低迷。22年度は1枚も売れず、最近は月に1枚が売れる程度だった。
「つながりやすい公衆電話」
しかし、今年4月末から、災害時に公衆電話で使えることや、携帯電話の利用が禁止されている学校での連絡用としての使い道をアピール。同時に価格を1枚800円から500円に値下げすると再び売れ出し、1か月間で16枚が売れたという。現在も好調で、6~8月は月あたり約60枚を販売。一度に4、5枚購入する人もいるという。
同館はテレホンカードの購入者に、スマートフォンのカメラで読み取れば、地図上で公衆電話の設置場所が検索できるQRコードを案内している。
同館の小牟礼雄一・学芸員は「災害時などに役立ち、美術作品を手元に置いて楽しめる。多くの人に購入してもらいたい」と話している。
NTT西日本鹿児島支店によると、公衆電話は災害時の通信規制の対象外で、携帯電話や固定電話よりもつながりやすいという。ただ、停電時には公衆電話の近くに電源があれば電話線を通じて給電し通話はできるが、テレホンカードは使えず硬貨が必要となる。
県内にある公衆電話は携帯電話の普及などで減少し続けているのが実情で、記録が残る中で最多だった1996年度末は1万367台だったが、2024年度末で1417台だった。