【宮崎】道の駅「田野」の移転を検討 利用者減少で宮崎市

 宮崎市田野町の中山間地を走る県道28号沿線にある道の駅「田野」について、設置者の市は町中心部の近くに移転する方向で検討を始めた。東九州自動車道の開通で県道の交通量が7割減り、利用者が大幅に落ち込んだことが理由という。


東九州自動車道の開通を控えた2022年頃の道の駅「田野」(宮崎市提供)

 市によると、道の駅は1998年4月に合併前の旧田野町が地場産業の振興を目的に開設した。宮崎と日南の両市をつなぐ主要ルートの県道28号に接していたことから、目的地に向かう途中の休憩所としてにぎわいを見せていた。

 転機となったのが2023年3月の東九州道・清武南インターチェンジ(IC、宮崎市)ー日南北郷IC(日南市)間の開通で、県道28号の交通量は1年後には74%減り、半日あたり1000台以下になった。道の駅の利用者も24年度は前年度比でほぼ半減の6013人にとどまり、今年3月には物販施設を閉鎖。現在は駐車場とトイレを提供するだけとなっている。

伝統農業や食文化をつなぐ拠点に

 移転先の候補地は町中心部近くの民有地(敷地面積9000平方メートル)で、1日1万台以上の自動車が通る国道269号に面する。新施設は延べ床面積1000平方メートルの平屋を想定し、駐車場も100台分を確保する予定という。

 宮崎市は今年度にも全体構想をまとめた基本計画を策定する方針。官民で投資を分担することを検討中で、11月まで事業者の意見を募っている。移転時期は未定。市田野総合支所農林建設課は「地域の伝統農業や食文化を次世代につなぐ交流拠点にしたい」としている。


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