【長崎】島原城跡「保存の形」を議論 国史跡記念シンポ
長崎県島原市の島原城跡が3月に国史跡に指定されたことを記念するシンポジウムが11月24日、同市の島原文化会館で開かれた。文化庁担当者や城郭研究者が今後の保存について意見を述べた。
島原城は、戦国大名の松倉重政が江戸時代の1618年に着工。幕藩体制下の新規城郭は全国的に少なく、石垣の組み方にも時代的な特徴があり、島原・天草一揆の戦闘、江戸時代の噴火災害「島原大変」を経験した希少性、特異性も文化財の価値として評価された。
天守閣の意義づけ、植栽も議題に
パネルディスカッションでは、昭和時代に再建された鉄筋コンクリート製の天守閣の意義づけ、石垣を傷める桜や松の植栽などの問題も議題に上がった。
文化庁の渋谷啓一主任文化財調査官は、「史跡指定の文化審議会で、今の天守をどう位置づけるかとの指摘があったのも事実」と語った。現在の天守閣の位置が築城時とは違う可能性を指摘していた宮武正登・佐賀大教授は「今の天守も市民に愛されている。どういう形が正当か、市民で議論すべきだ」とした。
千田嘉博・名古屋市立大高等教育院教授は今夏の大雨で崩壊した堀沿いの石垣の写真を示し、今後、崩壊が増える可能性を指摘した。
古川隆三郎市長は「国史跡とは、未来に引き継ぐべき財産。木のあり方も市民で考え、保存計画に盛り込んでいきたい」と述べ、渋谷氏も「史跡は誰のものかという視点に立ち、市民の宝として保存・活用してほしい。文化庁もなるべく支える」とした。
シンポジウムに先立ち、城の現地見学会もあった。
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