天神を豪雨から守る地下水路 福岡市で進む「レインボープラン」の現場を取材した

福岡市が整備を進めている雨水貯留管の内部

記事 INDEX

  • プール160杯分の水を貯留
  • 都市部の浸水被害を教訓に
  • 各地で施設の整備が進行中

 集中豪雨などで都市部に起きる浸水被害を減らそうと、地下空間を利用した対策工事が福岡市中央区の天神地区で進んでいます。雨水を一時的にためる巨大な貯留施設などを整備する事業「レインボープラン」。市街地の下水道があふれる内水氾濫は近年相次いでおり、激甚化する豪雨災害への備えとして、市は工事を急いでいます。

<内水氾濫>
 市街地に降った雨が河川などに排水されずに下水道や水路に流れ込み、許容量を超えて浸水する被害。2020年7月の九州豪雨では、福岡県大牟田市で市内約2800棟が浸水。19年の台風19号では、15都県の計約3万戸が水につかった。


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プール160杯分の水を貯留

 5月中旬、過去2番目の早さで梅雨入りした九州北部。福岡市の担当者らは、天気予報や降雨量の予測など大雨の情報に気を配る時期を迎えました。


地下の雨水貯留施設の入り口

 九州最大の繁華街・天神の地下で設置が進む巨大な貯留管は2009年から工事が続いています。最大直径5メートルの管は地下鉄や水道管、通信ケーブルなどの埋設物を避けるように張り巡らされ、総延長は5キロを超えました。

 福岡市道路下水道局建設推進課の大津圭祐課長は「深いところは地下40メートル。福岡市の真ん中で、こんな工事が行われていることはほとんど知られていません」と話します。


ずっと先まで続くトンネルのような貯留管


 工事は、大きな貯留管をつくる第1期が2019年までに完了し、現在はその管に流れ込む貯留管を整備する第2期に入っています。2期工事の終了は26年の予定で、完成すると管の総延長は7.7キロになり、25メートルプール約160杯分に相当する6万トンの雨水をためられます。事業費は計265億円の見込みです。

都市部の浸水被害を教訓に


2003年7月の豪雨で水につかった博多駅前

 整備のきっかけは度重なる豪雨災害です。福岡市では1999年6月、1時間に79.5ミリの記録的な大雨が降り、JR博多駅(博多区)近くのオフィスビル地下で女性1人が亡くなりました。2003年7月には博多駅周辺のビルや家屋が床上浸水し、地下鉄が不通になるなど交通機関も停止しました。


天神地区の浸水対策のイメージ(福岡市の資料より)

各地で施設の整備が進行中

 内水氾濫を防ぐ地下貯留施設は各地で整備が進んでいます。東京都渋谷区のJR渋谷駅周辺の地下には2020年8月、約4000トンの容量を持つ施設が完成。名古屋市では地下50メートルに総延長5キロの雨水調整池が建設されています。神奈川県厚木市では19年10月の台風19号で、約1万4800トンの水をためて市内への浸水を防ぎました。

 公益社団法人「雨水貯留浸透技術協会」(東京)によると、2009年度に約1万7000件だった設置件数は20年度には約6万4700件になったといいます。


天神地区で進む工事の安全管理などを行う中央制御室

 福岡市は内水氾濫に対する避難態勢の強化を進めています。担当者は「都市部の被害は様々な機能をまひさせます。ハード対策に取り組みながら、的確な避難行動が取れるようソフト面の対策も図りたい」と話しています。

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