水害から博多の街を守る「地下神殿」 山王雨水調整池に潜入した


 「山王公園の地下に神殿があるんだよ」――。福岡市博多区に住む知人から、こんな話を聞いたことがあります。まるで都市伝説ですが、この〝神殿〟は「山王雨水調整池」といい、博多の街を水害から守るため2006年につくられた施設なのだそうです。福岡市道路下水道局の「中部水処理センター」に連絡を取り、現地を案内してもらいました。


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豪雨被害の教訓

 2003年7月19日、梅雨前線の影響で 福岡市やその近郊は猛烈な雨に襲われました。博多区を流れる御笠川は上流域からの雨水であふれ、一帯に大きな被害が広がりました。JR博多駅周辺も浸水し、交通機関の混乱をはじめ都市機能が完全に麻痺しました。


ひざまで水に浸かり、博多駅に向かう人たち

 福岡市は被害をもう繰り返さないようにと、豪雨への対応力を高めるプロジェクト「レインボープラン博多」に乗り出しました。地下神殿といわれる山王公園の施設は、地表にあふれた雨水を貯める「山王2号雨水調整池」で、公園のグラウンドの下に眠っています。 また、グラウンド に隣接して、普段は野球場として使われる「1号調整池」があります。この二つを合わせて約3万㎥、25mプールで78杯分の雨水を貯留できるそうです。


普段は野球が楽しめる1号調整池


雨水が貯まった調整池(2009年7月、福岡市提供)


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