大分・中津城の石垣を砂糖菓子で表現 北九州のデザイナーがグランプリ受賞
記事 INDEX
- 九州ADCアワード
- 黒田と細川の境界を鮮やかに再現
- 「歴史の物語をうまく落とし込んだ」
福岡県北九州市のグラフィックデザイナー岡崎友則さんが、九州最大級の広告やデザインの公募コンテスト「九州ADCアワード2021」でグランプリを獲得しました。受賞作は中津城(大分県中津市)の特徴的な石垣を表現した砂糖菓子「石垣琥珀糖」のパッケージデザイン。完成までの道のりを聞きました。
九州ADCアワード
九州ADCアワードは、九州・沖縄と山口県のクリエイターでつくる団体「九州アートディレクターズクラブ(九州ADC)」が不定期で開催しています。昨年に開催する予定でしたが、新型コロナウイルスの感染が広がった影響で延期されていました。
今回は九州・沖縄、山口県から1097作品の応募があり、審査はオンラインで行われました。
黒田と細川の境界を鮮やかに再現
グランプリを受賞した「石垣琥珀糖」は、中津城観光の土産品にしようと、地方のブランディングに取り組むコンサルティング会社「しらすやまと」(福岡県北九州市)、和菓子メーカー「四季彩和菓子かきはち」(福岡県福智町)と共同開発。中津市歴史博物館で販売されています。
モチーフの中津城は戦国武将・黒田官兵衛によって築城され、細川忠興が完成させました。二人の城主によって築城されたことがわかる変遷が、石垣の積み方にも色濃く表れています。石垣琥珀糖は、この石垣に見られる「黒田時代」と「細川時代」の境界を表現したつくりになっています。
岡崎さんによると、琥珀糖に使用する色、石垣らしいデザインを実現するための金型づくりなど、細部にこだわったそう。パッケージは商品が見えるようになっており、斜めに走る石垣の境界線が目を引きます。
「琥珀糖は寒天と砂糖だけのシンプルな和菓子です。手に取った方には鮮やかな琥珀糖に注目してもらいたいので、パッケージに添える情報はできるだけ少なくしました。商品をきっかけに、中津城の歴史に関心を持ってもらえればうれしいです」
「歴史物語をうまく落とし込んだ」
九州ADC代表で、今回の審査にも加わったアートディレクター梶原道生さんは「作品のクオリティーはもちろん、中津城の歴史物語をうまく商品に落とし込んでいます。商品化する際に金型をゼロからつくるなど手間暇も感じさせ、その熱意や愛情も評価しました」とグランプリの理由を語りました。
九州ADCによると、来年も九州ADCアワードをオンラインで開催する予定にしています。