「いまも熱心な応援がうれしい」 東京五輪・パラのマスコット生みの親・谷口亮さん

記事 INDEX

  • 意見の対立に複雑な思い…
  • 感謝イベントにファンの列
  • 福岡の若手に挑戦の機会を

 コロナ禍が続いた2021年も残りわずか。この1年を代表する話題の一つは、やはり「東京オリンピック・パラリンピック」ではないでしょうか。曲折と1年の延期を経て、無観客で開催された大会。福岡市在住のイラストレーター・谷口亮さんが手がけ、活躍が期待されていたマスコット「ミライトワ」「ソメイティ」の登場機会は多くはありませんでした。谷口さんはこの夏をどう振り返るのか、話を聞きました。

意見の対立に複雑な思い…

 東京五輪・パラリンピックを巡っては、新型コロナウイルスによって世論が割れ、開催が危ぶまれた時期もありました。「複雑でしたね。延期、中止、開催といろんな意見があり、異なる意見の争いみたいになって。悪いのはコロナなのに・・・ とにかく無事に開催され、終わったので、ひと安心というか、良かったなと思います」


「ミラソメ」の等身大マスコット

 ミライトワとソメイティの等身大マスコットは2018年から、イベント出演や全国キャラバンなどで地道に大会PRを続けていました。しかし、コロナ禍で状況は一転。大会のムードが盛り上がっていく開会式直前になっても、競技が始まってからも目立った露出はなく、谷口さんも気にかけていたといいます。


東京スポーツスクエアで記念撮影(本人提供)

 SNSなどでは「マスコットの姿をもっと見たい」という声が上がりました。パラリンピック閉会式にミライトワとソメイティがそろって登場した際は、多くのメディアにも取り上げられ、SNSには喜びのコメントが次々と投稿されました。


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感謝イベントにファンの列

 マスコットは大会が終わった今も根強い人気です。10月と11月に東京スポーツスクエア(東京都千代田区)で開かれた感謝イベントには「ミラソメ」も登場。競技用具の展示や体験、公式ライセンス商品の販売などとともに、マスコットと記念撮影ができるグリーティングが行われ、整理券を求めるファンが早朝から並びました。


根強い人気の「ミラソメ」(10月の感謝イベントで)

 11月30日のグリーティング最終回は、約1300人のファンが押し寄せる盛況ぶり。ファンで埋め尽くされた会場の花道をミラソメが手を振りながら歩く様子は、まるで人気アイドルのようでした。

 マスコットを含む大会の知的財産権は来年以降、東京五輪・パラリンピック大会組織委員会から国際オリンピック委員会(IOC)に移ります。ファンからはミラソメの活動継続を求める声が上がり、SNSでは「#ミラソメ存続希望」というハッシュタグも登場しています。


前が見えない・・・(11月のイベントで)

 「SNSではミライトワとソメイティのファンの方々が今でも毎日たくさん投稿をしてくれます。なかには、イラストを描いたり応援動画を作ったりしてくれる方もいます。みなさんが熱心に応援してくださって、本当にうれしいです」と谷口さん。

 私もミラソメファンのひとりとして、異例の開催となった「TOKYO2020」の象徴でもあるマスコットの今後に注目しています。

福岡の若手に挑戦の機会を

 イラストやキャラクターデザインのほか、フィギュアの制作にも取り組んでいる谷口さんは、5年前から博多人形の勉強をしています。地元の伝統工芸品とコラボレーションできないだろうかと思い立ったのがきっかけでした。現在、博多人形商工業協同組合と福岡市が主催する「博多人形師育成塾」で学んでいるところです。

 コロナ禍による景気後退で谷口さんの仕事も影響を受けましたが、回復の兆しはあるようです。来年には、谷口さんが制作を担当した地元企業の新キャラクター発表が控えているとのことです。


「若手がチャレンジできる機会をつくっていければ」

 ずっと福岡で仕事を続けている谷口さんですが、ミライトワとソメイティが知られるまでは、仕事の依頼のほとんどは首都圏からだったといいます。

 「ミラソメによって、僕が福岡在住だと知られるようになり、地元の仕事が増えましたが、それまでまったく存在に気づいてもらえませんでした。もう30年近く福岡で仕事をしてるのに(笑)。福岡には、ほかにも素晴らしいクリエイターがたくさんいますし、若手がチャレンジできる機会をつくっていけないか模索しています」


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