北九州・スペワのヴィーナスが姫路に「着陸」 人気アトラクションの第二幕スタート
記事 INDEX
- 宇宙から見たら、ほぼ九州
- 出発時の演出もそのまま!
- 姫路でも親しまれる存在に
2017年末で閉園した北九州市八幡東区のテーマパーク「スペースワールド」で、人気を博したジェットコースター「ヴィーナスGP(グランプリ)」が兵庫県内のテーマパークに移設され、7月から新天地で第二幕がスタートしました。福岡地区でもテレビCMが放映され、"再会"するために九州から出かけるファンも多いようです。
宇宙から見たら、ほぼ九州
ヴィーナスが設置されたのは、姫路市の「姫路セントラルパーク」です。約190ヘクタールの広大な敷地に、遊園地やサファリパーク、流水プールなどがあり、地元では「姫セン」の愛称で親しまれています。
7月16日の運行開始直前から山口や福岡でも流れているCMは、「星」になったスペワから姫センにヴィーナスが降り立ったというストーリー。着陸地点が北九州市からずれたものの「宇宙から見たら、ほぼ九州」と来場を呼びかけています。
姫センの運営会社は、加森観光グループの「ジャパンパーク&リゾート」(姫路市)で、スペワと同じです。スペワ閉園後、多くの遊具が廃棄される中、「ヴィーナスは世界に誇る名機。後世に残すべき」との声が上がり、グループ内で移設先を検討。"ほぼ九州"に立地し、広い敷地を持つ姫センが、新たな活躍の場に決まりました。
出発時の演出もそのまま!
ヴィーナスはコースの全長が約1キロ。日本最大級のループを有し、そのひねりは「芸術的」とも評されます。定員24人で、地上約37メートルまでゆっくり上って下り、再び上がると今度はひねりながら降下します。地面すれすれを疾走するなど、約2分間の乗車中、息つく暇もないスリル感を味わえます。
姫センによると、ヴィーナスは「コースターの神様」と呼ばれたドイツの設計者、アントン・シュワルツコフさんの遺作。スペワでの姿のまま移設され、名前やロゴ、レールの緑色も同じです。
「スペワのヴィーナスをご存じの方にぜひ注目してほしいのが、様々な演出です」と、ジャパンパーク&リゾート総合企画部・営業部の飯星隆さん(60)は話します。
出発時、クルーの「ヴィー!」という声に続き、乗客が声を合わせて「ナース!」と叫ぶ光景がその一つです。計測した声量に応じて60%、100%といった具合にエネルギーをチャージし、コースターが動き出す、という仕掛けです。
姫路でも親しまれる存在に
実は飯星さんはスペワ出身。1989年に当時の運営会社に入り、閉園が決まった2016年に姫路へ移るまで、北九州で勤務しました。ヴィーナス移設には、スペースの確保や輸送の問題、劣化対策など様々な困難もあり、「無事スタートした姿を見て、ホッとしました」と語ります。
姫センでは、新アトラクション導入に合わせ、スペワでヴィーナス担当チーフを務めた人材を招くなどして従業員研修を実施。関連グッズも作り、販売を始めました。
姫センの竹田敏美・総支配人もスペワの出身です。また、スペワ閉園時に「なくなるョ!全員集合」のフレーズで話題となったテレビCMを手がけたクリエイティブ・ディレクターが、今回の姫センのCMも担当するなど、北九州時代の縁をつなぎながら、ヴィーナスはまた走り出しました。
「福岡で愛してもらったヴィーナスが姫路でも親しまれる存在になるよう、大事に育てていきます」と飯星さん。スペワの人気コースターで幅広い集客につなげ、さらなるにぎわいを目指しています。