福岡にも温泉があった!天神からも近い秘湯を深掘り取材

警固断層に秘密が…

 福岡になぜ温泉が湧くのか――。謎を解くため、地熱に詳しい九州大大学院工学研究院の西島潤准教授に話を聞きました。


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メカニズムを解説してくれた西島准教授

――福岡市の内陸部で温泉がなぜ湧き出るのでしょうか。

 温泉は大きく分けると、「火山性」と「非火山性」に分類されます。火山地帯の「火山性の温泉」では、地下のマグマだまりの熱で地下水が温められ、温泉になります。しかし、火山地帯以外の地下でも地球内部のマントルの熱が伝わり、100メートル深くなれば温度が2~4度上昇します。そこで水が温められ、様々な物質が取り込まれると温泉になります。このタイプが「非火山性の温泉」です。

――博多温泉は「非火山性の温泉」ということですね。

 そうです。博多温泉は、地球内部から伝わってくる熱のほか、花こう岩に含まれる放射性元素が崩壊する際の熱も加わっていると思われます。それと、断層の真上にあることも重要です。

――よく耳にする「断層」ですが、温泉とどういう関係が?
 

 断層は地盤が動いて地震があった跡のことです。博多温泉は「警固断層」の真上にあります。地盤が動くと地下に亀裂ができ、そこが水の通り道になります。つまり、地下で温められた湯が地表近くまでしみ出す道になるということです。


調査で南極に行った経験もあるそうです

――なるほど。博多温泉は警固断層からの湯ということですね。

 実はもう一つあって、博多温泉付近の地層には粘土層があり、その粘土層が温泉にふたをする状態になっています。それで保温ができるのですが、粘土層があると温泉は地表に湧き出しません。そこに、たまたま井戸を掘ったから、温泉の存在が分かったわけです。しかも、博多温泉は狭い範囲でしか出ない温泉なので、そういう意味ではかなりラッキーだったといえますね。

――ほかに似たような温泉はありますか。

 筑紫野市の二日市温泉が、やはり警固断層が起源の温泉ですね。ただ、博多温泉のように大きな都市の中に湧いているのは珍しいと思います。


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