わらでリアルを追求! 筑前町に出現した恐竜の巨大かかし
福岡県筑前町にある安の里公園。稲刈りが終わった田園地帯に実物大の恐竜・ティラノサウルスのオブジェが登場し、全長22メートル、高さ8.5メートル、幅6メートルの巨体が、訪れた人たちを驚かせている。
”過去最大級”で登場
圧倒的な存在感を放つ恐竜は、わらで作ったかかし。「地域の呼び物に」と若手有志でつくる「筑前若者(わっかもん)会」が中心になって巨大かかしを作り始め、同町の風物詩として定着した。8回目を迎えた今年も、仕事を終えた平日の夜と休日返上で作業を進め、11月6日の「ど~んとかがし祭」に間に合うよう完成させた。
これまでに「イノシシ」や「ゴリラ」「ゼロ戦」「宇宙戦艦ヤマト」などを手がけた。3年ぶりに祭りのイベントが復活した今回は、コロナ禍に負けずに困難を乗り越える姿を表現しようと、過去にない大きさの作品に挑んだ。
準備は9月上旬から始まった。稲わらを束にしてひもでつなげていく「とば編み」の作業には、地元の中学生やボランティアら延べ約500人が参加した。使用したわらは約1トンにのぼるという。
細部まで手を抜かず
背中や口の中、頭頂部など、人の目の高さからは見えない部分も、わらの質感を生かしたリアルな表現を追求した。「躍動感の決め手は顔」と、表情の造形には特に腐心したという。細部までこだわり抜いた結果、頭の重さが約200キロになり、恐竜の背丈が想定より1メートルほど低くなった。
設計図を基に制作を進めたが、「変更した方がいいのでは」「いや、こうしよう」と現場で議論を重ねながら手直しを加えた。わらの編み方によって迫力に大きな差が出るため、その場で編み直したことも。結果、全長は設計より9メートルも延びた。曲線部分の作り込みは特に神経を使い、作業は連日、夜10時頃にまで及んだそうだ。
1月下旬まで展示予定
同町の担当者は「コロナ禍の厳しい状況がまだ続きますが、少しの間いろんなことを忘れて、かかしを楽しんでもらえたら」と話している。
展示は来年1月下旬までの予定。11月、12月の「5」が付く日には、夕暮れ時から午後8時頃までライトアップで演出する。