同世代に元気を!福岡市の77歳が廃材アートで初の個展を計画

「ファミリー」をテーマに作ったオブジェの隣に立つ牛島さん

記事 INDEX

  • 廃材を絵画やオブジェに
  • 生命を再び吹き込む喜び
  • 歌謡ショーも一緒に開催

 発泡スチロールをキャンバスに見立てた滝の絵、複数のコルク栓に描いた様々な笑顔が並ぶオブジェ――。福岡市南区の牛島数重さん(77)は、不用になった板やガラス片など廃材を利用したアート作品の創作を趣味で続けています。喜寿を迎え、「同年代の高齢者を少しでも元気づけたいとの思いが原動力」と話す牛島さんは、11月に自身初となる作品展を計画しています。

廃材を絵画やオブジェに

 「ファミリー」がテーマのオブジェは、金網をはぎれ布や和紙で覆い、ステンドグラスの破片などをちりばめました。親子が幸せに暮らす様子を表現したそうです。


作品を手に廃材アートへの思いを語る牛島さん


 板に様々な新聞記事を貼り、その上に自身の幼少期の写真と時計の針を配置した作品は、長い時間をかけて今の自分があるというメッセージを込めています。


 キッチン棚の木製扉、布地が巻かれていた芯、琴の胴体部分……。制作に用いる素材の多くは、処分される運命にあった不用品。「何でも活用しようとすると、自然と創作につながっていきます」。素材は、知人らから譲り受けることが多いそうです。


発泡スチロールに滝を描いた作品

不用になった板を利用


 福岡県八女市出身の牛島さん。観光バス会社の社長や不動産業などを経て、現在は住宅建築会社を経営しています。ものづくりが好きで、趣味で絵も描いていたそうです。年齢を重ねて時間に余裕ができ、創作への意欲が再び湧いてきました。


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生命を再び吹き込む喜び

 5年ほど前、自宅の殺風景な壁に絵でも飾ろうと考え、自分で描けば費用も少なくてすむと軽い気持ちで始めたといいます。節約のために、不用になった板や段ボールなどをキャンバスボードの代わりにして絵を描きました。


廃材から作り出したオブジェ


 「自身が高齢になり、社会からの疎外感を感じることもあった」と牛島さん。「廃材と自分が少し重なったのかもしれません」とちゃめっけのある笑顔で話します。廃材をアートによみがえらせる楽しさを知り、コロナ禍で増えた在宅時間を生かして創作活動に打ち込みました。自宅には今、大小様々な作品が30点ほどあります。


コルク栓に描いた笑顔が並ぶ


歌謡ショーも一緒に開催


 初の作品展「USHICHANの自分史個展」は、11月26日に福岡市南区高宮の市男女共同参画推進センター・アミカスで開き、約20点を展示する予定です。きっかけは、小学生の頃から付き合いがあるジャズピアニスト・蓑田晴彦さん(77)(福岡市南区)の「こんなに作品があるなら個展でもやってみたら」という一言でした。


個展開催を勧めてくれた蓑田さん(左)と


 開催を決めると、蓑田さんが会場でピアノを演奏してくれることに。ならば「にぎやかに楽しもう」と人脈を生かしてシャンソン歌手らにも声をかけて、歌謡ショーも一緒に行うことにしています。作品展は11時30分から、歌謡ショーは13時からで、当日会場で入場料3000円が必要です。


個展の準備を進めている牛島さん


 牛島さんは「何歳からでもいろいろなことをスタートできると信じています。作品展を見て自分も何か始めてみたいと思ってもらえたら幸せです」と語ります。今回の挑戦をきっかけに、新たな出会いが生まれて人とのつながりが広がっていくことを期待しながら作品展の準備を進めています。



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