ロイヤルの食品工場に潜入 人が支えるレンチン本格メニュー

焼きあがったグラタン

記事 INDEX

  • かなりの人の手が
  • チン!でお店の味
  • モンロー注文品も

 福岡で創業し、全国にレストラン「ロイヤルホスト」などを展開するロイヤルホールディングスは、店舗で提供する食材の一括調理や家庭用冷凍食品の製造を担うロイヤル福岡工場(福岡市博多区)の生産ラインを、10月18日の「冷凍食品の日」に先立ち、報道関係者に公開しました。コロナ禍を経て家庭での冷凍品の需要も伸びる中、「商品への思いやこだわりを伝えたい」と企画。普段は見学を受け入れておらず、この貴重な機会に訪ねてみました。

かなりの人の手が

 「機内食向けの商品も手がけており、トッピング(の種類)が増えていることもあって、人の手での作業が必要です」


従業員たちが作業にあたる盛り込みライン

 福岡工場で9月下旬に公開されたのは、家庭向け冷凍食品ブランド「ロイヤルデリ」の人気商品「ごちそう海老グラタン」(税込み1058円)の生産工程の一部。「盛り込みライン」だけでも約10人が、マカロニやエビ、マッシュルームの盛りつけ、2種類のソースの注入、その後の検査などにあたっていました。江頭裕輔工場長(59)が、消費者のニーズに応えるべく、具材を充実させているといった事情を説明してくれました。


エビなどを手際よく盛りつける

 ロイヤルグループでは、各地のレストラン向けの一括調理などを行う「セントラルキッチン」の機能を、福岡工場と東京工場(千葉県)の2か所に配置。約170品目を担当する東京工場は「大量生産型」、約300品目の福岡工場は「少量多品種型」です。


ロイヤル福岡工場

 福岡工場では、レストランの一部メニューのほか、機内食やロイヤルデリなどを手がけます。「料理長が調理した味をいかに再現して、お店や自宅で味わっていただくか。それを意識しています」と、江頭工場長は強調します。

 なお、セントラルキッチンを国内の外食企業でいち早く採用したのは、1962年に福岡で導入したロイヤルグループとのことです。


advertisement

チン!でお店の味

 盛り込みの後は、焼成ラインへ。約1メートルのコンベヤーを5分ほどかけて進み、焼き上げます。ラインから出てきたグラタンは、こんがりと焼き色が付き、まだグツグツしているものもあります。


焼成ラインで、こんがりと焼き色が付く

 粗熱をとり、冷凍ラインへ運びます。約100メートルのらせん状のコンベヤーで約50分かけて冷凍。翌日の検査などを経て、通常1~2週間後に出荷されます。


商品を冷凍ラインへ運ぶ従業員

 焼きたてが一番おいしそうに見えますが、「解凍後にマカロニがアルデンテになるようにゆで時間を抑えるなど、(購入者が)食べる直前に一番おいしい状態にしています」と江頭工場長は話します。


レンジで加熱するとお店の味に

 なお、見学にあたっては、専用の白衣を着用して指輪を外し、手洗いやホコリの除去を済ませて入室。衣類に関する細かな注意書きのほか、手洗いや消毒の手順も掲示され、衛生管理に対する厳しい姿勢が随所に感じられました。


工場内に掲げられた標語。衛生への心がけが随所に見られる

モンロー注文品も

 ちなみに「冷凍食品の日」は日本冷凍食品協会(東京)が1986年に制定しました。10月は冷凍の「トウ」、18日は冷凍食品の管理温度が「マイナス18℃」以下となっていることにちなんでいるそうです。

 「ロイヤルデリ」は、2019年12月から販売。現在50種類以上をそろえています。


気軽に味わえる「ロイヤルデリ」の一部商品

 中には、アメリカの人気俳優、マリリン・モンローが1954年に来日した際、福岡市にあったロイヤル中洲本店で注文したという「オニオングラタンスープ」のセット(1240円)も。ミンチや野菜、卵白を一晩煮込んでコンソメスープをつくるなど、手間をかけた一品で、オーブンで焼き色を付けると自宅でも本格的な味が楽しめます。


「オニオングラタンスープセット」の 盛り付け例(提供:ロイヤルホールディングス)

 江頭工場長は「『ロイヤル』をこよなく愛してくれるお客さまが、デリ(持ち帰りや通販)という選択肢でも(店と変わらぬ)イコールの味を楽しんでもらえるよう、心を込めて調理しています」と話します。

 なお、ロイヤルデリの一部商品や、福岡工場内のベーカリー工場で焼いたパンなどは、近接する直売店でも購入できます。賞味期限が近づいたものなどは「お買い得」の割引価格で並んでいるそうです。


工場の近くにある直売店


advertisement

この記事をシェアする