大牟田の炭鉱電車が引退へ 次世代に雄姿を伝える映像・音源を記録

貨車を引いて大牟田市内を走る「炭鉱電車」

 1997年の三池炭鉱閉山後も福岡県大牟田市内を走ってきた旧三池炭鉱専用鉄道の「炭鉱電車」が、5月中旬にも廃止されます。一部区間を化学製品の原料輸送で利用してきた三井化学大牟田工場が、船とトラックによる輸送に切り替えるためです。かつて石炭や市民を運んだ雄姿を懐かしむ鉄道ファンは多く、三井化学は大牟田市と協力し、映像などを残すプロジェクトに乗り出しました。


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買い物客も運んだ"市民の足"

 三井化学や大牟田市によると、専用鉄道は石炭搬出のため1878年に敷設された馬車鉄道が起源で、1891年からは蒸気機関車が運行。1908年の三池港開港後は電気機関車が走り、総延長約18.5キロとなりました。炭鉱隆盛期には炭鉱マンや買い物客らも運び、市民の足としても活躍しました。


大牟田市内の踏切を通過する炭鉱電車(2015年撮影)

 閉山後、ほとんどは廃線となりましたが、大牟田市中心部の約1.8キロについては、化学製品の原料となる濃硝酸を工場内に運ぶ専用線として三井化学が活用。現在は電気機関車が貨車を引いて1日に2往復し、同市旭町の国道208号を横切る姿を鉄道ファンが撮影するなど、大牟田のシンボルの一つになっています。


世界遺産になった三池炭鉱専用鉄道敷跡。左は宮原坑跡(2017年撮影)

 5両ある機関車のうち、1915年製造の車両は現役では国内最古とされ、大牟田市南部~熊本県荒尾市間の鉄道敷跡は「明治日本の産業革命遺産」として世界文化遺産に登録されています。


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雄姿を記録で残すプロジェクト

 三井化学は炭鉱電車の記録を次の世代に残そうと、「ありがとう 炭鉱電車プロジェクト」を企画しました。大牟田市を舞台にした映画「いのちスケッチ」の瀬木直貴監督に依頼して、記念映像(20~30分)を制作するほか、電車の運行音も音源として残す考えです。専用線は7月にも廃止作業に入るため、6月に「ラストラン」のイベント開催を予定しています。


映像制作プロジェクトを発表する高井工場長(中央)ら

 大牟田市役所で記者会見した三井化学大牟田工場の高井敏浩工場長は「多くの人に納得してもらえる映像や音源になるよう、瀬木監督に全面的に協力したい」と話しました。瀬木監督は「(廃止の)10年、20年後もまちへの希望が感じられる作品に仕上げたい」と意気込みを語りました。映像には過去の動画や写真も使うほか、思い出やエピソードを寄せた人のインタビューも盛り込むことにしています。


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