売り場の映像を見ながらリモートで買い物 古賀市で実証実験

映像と音声によるやり取りで商品を見定め、購入を依頼する

 顔にカメラやマイクを装着した人が商業施設や農産物直売所を訪れ、そこからリアルタイムで送られてくる映像を見ながら遠隔で買い物をする実証実験が2月、福岡県古賀市小野地区で始まる。公共交通の便が良くない地域で暮らす高齢者などの買い物弱者が、実際に売り場にいるような目線と会話で商品を選び、購入できる支援策で、実験を委託されたNTTコミュニケーションズによると、九州では初の試みという。

スマートグラスを通して

 実験を行うのは、小野地区の任意団体「スマートアグリビレッジおの推進協議会」。2023年3月、デジタル技術を活用した生活支援やスマート農業技術の普及を目的に、農業者や九州産業大の研究者、市社会福祉協議会などが参画して発足した。


実験に用いるスマートグラス


 実験では、カメラとマイクが一体になり、眼鏡のように装着する「スマートグラス」をかけた買い物スタッフが、買い物客と同じように店内を巡りながら、陳列された商品を見たり、手に取ったりする。


 目のすぐ横のカメラがとらえた目線に近い映像が、ウェブ会議システムで、高齢者が集まった場所のモニターに映し出される。


スマートグラスを活用した買い物支援の流れ


 お年寄りたちは、鮮度やラベルの情報などを自身で見定めて購入できることに加え、双方にマイクとスピーカーがあるため、「もっと近くで見たい」「いつ入荷したのか、店員さんに尋ねて」「野菜の次は総菜売り場へ」といった要望を声で伝え、その回答を聞くなど、映像を見ながら相互にやり取りできる。


実用化へ課題を洗い出し

 市によると、小野地区は市東部の中山間地域。高齢化率は27.1%で、公共交通の利用率は市内で最も低い。数年前に移動販売が行われたこともあったが、客が集まらず採算が取れなかったという。


買い物スタッフがスマートグラスを装着して商品を手に取り、映像を伝送する


 実験は2月、地区内の公民館、老人ホームと、約4キロ離れた農産物直売所コスモス広場で始まる。体操イベントで公民館に集まった高齢者には、イベントが終わるまでにそれぞれが選んだ商品を届け、持ち帰ってもらう。老人ホームでは、利用者に午後3時のおやつを選んでもらい、実際に届ける。


 農林水産省の事業を活用して来年度も実験を続け、課題を洗い出し、早ければ2025年度の実用化を目指す。協議会事務局の中田学(さとし)さんは「買い物支援という福祉面の効果に加え、販売する側の売り上げ増加も期待できる。映像を見る場所まで出かけることで、高齢者の外出促進にもつなげたい」と話す。


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