冷やして食べるとみずみずしく、シャキシャキした食感がくせになるキュウリ。通年で手に入る身近な野菜ですが、本来の旬は6〜9月です。エネルギー(熱量)は100グラムあたり14キロ・カロリーしかなく、「Least calorific fruit=もっとも発熱量の低い果実」として、ギネスブックに記録されています。そんなキュウリと博多の街の意外な関係を紹介します。
博多の街からキュウリが消える!?
博多の夏といえば「博多祇園山笠」です。新型コロナウイルスのため今年は開催中止となりましたが、毎年7月1〜15日の期間中、関係者がやってはならない禁忌(タブー)が存在します。その習わしの一つが「胡瓜断ち(きゅうりだち)」。まつりの間、山を舁く男たちはキュウリを口にしない"きまり"になっています。輪切りにしたキュウリの断面が、山笠の祭神である祗園神の神紋「木瓜(ぼけ)」に似ていることに由来するとされます。
神紋を口に入れるのは畏れ多いとされ、博多部の小中学校では給食の献立からもキュウリが消えます。時代の変化や転入者の増加などにより、タブーに対する意識は薄れつつあるようですが、「山笠にかかわる児童・生徒もおり、地域の歴史や文化にふれる機会」(福岡市教育委員会)として、受け継いできた伝統が教育現場でも大切にされています。
暑さ対策にぴったりな野菜
キュウリに豊富に含まれるカリウムには、利尿やむくみ解消の効果があります。熱の排出を助けるため夏バテ防止に有効で、水分も補給することができます。
「食べると怪我をする」として山笠の男たちには敬遠されるキュウリですが、暑い夏を乗り切るのにぴったりな野菜です。