朝倉の正月料理「蒸し雑煮」をレンジでチン! 手軽に食べられる新商品が完成
記事 INDEX
- 江戸時代から伝わる郷土料理
- 食文化を伝えるプロジェクト
- 新商品で地域を盛り上げたい
福岡県の朝倉地域に江戸時代から伝わる正月料理「蒸し雑煮」の新商品が完成しました。茶碗蒸しに餅を入れたようなユニークな郷土料理を、電子レンジで温めて手軽に食べることができます。学校給食にも提供し、知名度アップを目指します。
茶碗蒸しと雑煮が合体?
蒸し雑煮は、江戸中期に中国から長崎に伝わった茶わん蒸し料理が、長崎の警備を命じられた福岡藩の支藩・秋月藩で広まったことが起源とされます。秋月藩は養鶏が盛んで、茶碗蒸しに使われる卵は特別な時に食べられていました。江戸後期には、茶碗蒸しと、正月のごちそうの雑煮が合体したような料理が生まれたといいます。
朝倉市のあさくら観光協会や地元飲食店などのメンバーは2016年春、蒸し雑煮の普及を目的とした団体「筑前朝倉蒸し雑煮プロジェクト」を発足させました。朝倉市、筑前町、東峰村の小学生にアンケートを行ったところ、14%の児童が正月に蒸し雑煮を食べていると判明し、独自の食文化を伝えていくPR活動を始めました。
現在は地元の飲食店19店で蒸し雑煮を提供しています。観光客のみやげ用にレトルト商品も売り出しています。
郷土料理で地域を活性化!
レンジで温めて食べる新商品「筑前朝倉蒸し雑煮」は、「地元の人も手軽に食卓に出せる商品を」と、同プロジェクトとエフコープ生活協同組合(本部・福岡県篠栗町)などが共同で開発しました。原料に朝倉市産の卵、筑前町産の黒大豆「クロダマル」、東峰村産のシイタケを使用し、2個入り343円(税込み)です。
朝倉市で10月7日に開かれたお披露目会には、開発に関わったメンバーや自治体職員ら約50人が参加。新商品の試食や記念撮影も行われました。
プロジェクトの発起人で、あさくら観光協会事務局長の里川径一さんは「郷土料理として地元に広く根付いてほしい。商品開発をきっかけに、多くの人が朝倉地域に足を運んでくれるよう盛り上げていきたいです」と話していました。
エフコープは組合員向けに販売を始めました。地元の道の駅などにも取り扱いを広げ、来年1月には朝倉市の小中学校の給食でも提供される予定です。「蒸し雑煮」の名称を地域ブランドとして登録することも目指しています。