脱・日帰り観光地へ! 関門地区でホテルの建設計画が相次ぐ

砂浜を再現したリゾナーレ下関のスイートルーム(星野リゾート提供)

記事 INDEX

  • 「リゾナーレ下関」開業へ
  • 門司港エリアも動き出す
  • 星野リゾート代表に聞く

 関門海峡を挟んだ北九州市門司区と山口県下関市で、ホテルの建設計画が相次いでいる。一帯は日帰りでの観光客が目立つエリアだが、海峡の景観やレトロな観光資源などを生かして宿泊需要を喚起し、地域の魅力向上につなげる狙いがある。

「リゾナーレ下関」開業へ

 「1日500隻の船が行き交う特殊な海峡は他にない。食も素晴らしい」。星野リゾートの星野佳路代表は6月24日に福岡市で開いた記者発表会で、12月にリゾートホテル「リゾナーレ下関」をオープンする下関市の魅力を力強く説明した。

 同社として九州・山口で初のリゾートホテルとなるリゾナーレは12階建て(全187室)で、客室からは関門海峡が望める。上層階には、室内に砂浜を再現したスイートルームも設ける。宿泊客向けの船舶見学会や、近くにある唐戸市場のツアーなども準備し、「開業から3年後に通年で稼働率80%」(鈴木良隆総支配人)を目指す。

 宿泊料は1泊1人税込み2万1000円(2人1室利用)からで、24日に一般予約の受け付けを始めた。


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門司港エリアも動き出す

 一方、「レトロ地区」を抱える対岸の北九州市・門司港地区で進むのは、未利用地などを活用したホテルの新設計画だ。



 JR門司港駅近くの市有地約3500平方メートルを取得した美里建設(北九州市)は、約120室のホテルなどが入る10階建て複合施設の整備を進める。開業は2026年夏の予定で、同社は「今後、ホテルのブランドを公表する」とする。同駅前の「旧JR九州本社ビル」についても、所有する市がホテルなどへの活用を条件に、近く事業者の公募を始める予定だ。


JR門司港駅の前に立つ旧JR九州本社ビル(左)


 ただ、関門エリアで宿泊する観光客は多くなく、下関市の23年度の観光動態調査によると、「日帰り」は過半数の52%に上った。観光客を引き留めるための環境整備が課題で、北九州商工会議所の津田純嗣会頭(安川電機特別顧問)は「祭りなどイベントも開催することで(関門エリアが)一段と輝くことを期待している」と話している。


星野リゾート代表に聞く

 星野代表は読売新聞のインタビューで、世界に向けて九州のブランドを発信する重要性について語った。


インタビューに答える星野代表


 ――九州の観光の魅力と課題をどうみているか。

 九州には温泉や文化、お酒など観光資源としてない物がないぐらいそろっており、各地域が少しずつ違った魅力を発信できる。一方で、世界地図で見れば九州は一つの島であり、県境は関係ない。7県の予算を合わせ、顧客の視点で『九州』としてのプロモーションを行うことが大事だ。

 ――九州・山口・沖縄で今後、どう展開するか。

 我々は(宿泊施設の)運営会社なので、運営してほしいと言われればどこにでも行く。打診してもらえれば、全ての案件に対して積極的に動いていく。


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